全国47の地域金融機関に導入実績を持つFinFlow。創業6年目の同社が提供する「地銀特化型DXプラットフォーム」が、今、地域経済を静かに変えようとしている。
地銀が直面する「生き残り」の危機
編集部
まず、FinFlowの事業内容について教えてください。
佐々木社長
私たちは地域金融機関に特化したDXソリューションを提供しています。具体的には、中小企業向け融資の審査プロセスを効率化するAIシステム、顧客データを統合管理するCRMプラットフォーム、そして行員の方々が使う業務支援アプリケーションなどを一気通貫で提供しています。大手都市銀行向けのシステムは多くありますが、私たちは徹底的に「地銀の現場」にこだわってきました。
編集部
なぜ地銀に特化されたのでしょうか。
佐々木社長
私自身が地方銀行の出身なんです。新卒で入行して8年間、法人営業から支店長代理まで経験しました。そこで痛感したのが、地銀が抱えるシステムの古さと業務の非効率さです。都市銀行には潤沢なIT予算がありますが、地銀にはそれがない。しかし地域経済を支えているのは間違いなく地銀なんです。このギャップを埋めたいと考えて起業しました。
編集部
地銀が今直面している課題とは何でしょうか。
佐々木社長
三つあります。一つ目は人口減少による貸出先の減少。二つ目は超低金利環境による利ざやの縮小。三つ目がDX人材の不足です。特に三つ目が深刻で、システムを刷新したくても社内にノウハウがない。外部ベンダーに丸投げすると数億円かかる。この悪循環が地銀を苦しめています。私たちは月額制のSaaSモデルで、初期費用を抑えながら段階的にDXを進められる仕組みを作りました。
地域経済を支えているのは間違いなく地銀。このギャップを埋めたいと考えて起業しました
── 佐々木社長
AI融資審査がもたらす「現場の革命」
編集部
特に評価されているのがAI融資審査システムだと伺いました。
佐々木社長
はい。従来、中小企業への融資審査には平均で2〜3週間かかっていました。決算書を見て、事業計画を精査して、担保を評価して...と、行員が手作業で進めていたんです。私たちのシステムでは、これを最短48時間に短縮できます。過去の融資データと財務指標を機械学習させることで、信用リスクを瞬時に算出できるようになりました。
編集部
現場の反応はいかがですか。
佐々木社長
最初は抵抗がありました。「AIに融資判断を任せるのか」という声も多かった。でも実際には、AIは判断を代替するのではなく、行員の判断を支援するんです。システムがリスクスコアと根拠を提示し、最終判断は人間が行う。これによって、行員の方々は審査業務から解放され、本来やるべき「顧客との対話」に時間を使えるようになります。導入した地銀では、法人営業の訪問回数が平均1.8倍に増えたというデータもあります。
編集部
精度の面では信頼できるのでしょうか。
佐々木社長
私たちのシステムは、過去15年分、約24万件の融資データを学習しています。導入後1年間の追跡調査では、貸倒率が従来比で32%減少しました。もちろん完璧ではありませんが、人間の主観だけに頼るよりも客観的で安定した判断ができています。また、地域特性や業種特性も学習させているため、「この地域の建設業はこういう傾向がある」といった細かな分析も可能です。
編集部
中小企業側のメリットは何でしょうか。
佐々木社長
融資のスピードと透明性です。資金が必要なタイミングで迅速に審査結果が出る。また、なぜ融資が通ったのか、通らなかったのかの理由も明確に提示されます。従来は「総合的に判断して」という曖昧な回答しかもらえなかったのが、「売上高対営業利益率が業界平均を下回っている」など具体的なフィードバックが得られる。これが次の経営改善につながるんです。
AIは判断を代替するのではなく、行員の判断を支援する。これによって本来やるべき「顧客との対話」に時間を使えるようになる
── 佐々木社長
地域を「データ」でつなぐ未来構想
編集部
今後の展開について教えてください。
佐々木社長
現在47の地銀に導入していますが、これを100行まで拡大することが直近の目標です。そして次のフェーズとして、「地域経済データプラットフォーム」の構築を進めています。各地銀が持つ企業データを匿名化して統合し、地域経済の健康状態を可視化する。例えば、ある地域で飲食業の業績が悪化傾向にあれば、自治体や商工会議所と連携して早期に支援策を打てるようになります。
編集部
データの扱いには慎重さが求められますね。
佐々木社長
まさにその通りです。私たちはセキュリティとプライバシー保護を最優先にしています。金融庁のガイドラインはもちろん、国際的なセキュリティ基準ISO27001も取得しています。データは完全に匿名加工し、個社が特定できない形でのみ活用します。地銀の皆さんからの信頼があってこそのビジネスですから、ここは絶対に妥協しません。
編集部
フィンテック業界全体についてはどうお考えですか。
佐々木社長
日本のフィンテックは「銀行を倒す」のではなく、「銀行と共創する」方向に進化していると感じます。特に地方では、金融機関が地域インフラそのものです。私たちのようなフィンテック企業が、テクノロジーで既存の金融機関をエンパワーメントする。これが日本型フィンテックの成功モデルだと信じています。
編集部
最後に、今後のビジョンをお聞かせください。
佐々木社長
「誰もが公平に金融サービスを受けられる社会」を作りたいんです。都市部の大企業だけでなく、地方の小さな商店や農家の方々も、適切な金融支援を受けられる。そのために、テクノロジーの力で地銀を強くし、地域経済を活性化させる。それが私たちのミッションです。創業から6年、ようやくスタートラインに立てたと思っています。ここからが本当の勝負ですね。
日本のフィンテックは「銀行を倒す」のではなく、「銀行と共創する」方向に進化している
── 佐々木社長
まとめ
・地域金融機関に特化したDXソリューションを提供、47の地銀に導入実績
・AI融資審査システムにより審査期間を最短48時間に短縮、貸倒率を32%削減
・行員を審査業務から解放し、顧客との対話時間を1.8倍に増加させることに成功
・今後は地銀100行への拡大と「地域経済データプラットフォーム」構築を目指す
・AI融資審査システムにより審査期間を最短48時間に短縮、貸倒率を32%削減
・行員を審査業務から解放し、顧客との対話時間を1.8倍に増加させることに成功
・今後は地銀100行への拡大と「地域経済データプラットフォーム」構築を目指す
企業情報
| 会社名 | 株式会社FinFlow |
|---|---|
| 業種 | 金融・フィンテック |
| 役職 | 代表取締役社長 |
| 代表者 | 佐々木 健太郎 |