EC需要の急増と人手不足が加速する物流業界。都市部に小型拠点を分散配置する「マイクロハブ戦略」で配送効率化と地域貢献を両立させるメトロウェイロジスティクスの挑戦とは。
マイクロハブ戦略が生まれた背景
編集部
御社は都心部に小型物流拠点「マイクロハブ」を多数展開する戦略で注目を集めています。このビジネスモデルを始めたきっかけを教えてください。
小野寺社長
2015年の創業時から、私たちは都市部のラストワンマイル配送に特化した物流サービスを提供してきました。当時からEC需要の伸びは著しく、再配達問題や配送員不足が深刻化していたんです。従来の大型物流センターから各家庭へ配送する方式では、どうしても配送効率に限界がありました。そこで発想を転換し、都心の商業ビルや駅近の空きスペースを活用して、300〜500平米程度の小型拠点を分散配置する方式を考案したんです。
編集部
大型拠点ではなく、あえて小型拠点を分散させる利点は何でしょうか。
小野寺社長
最大のメリットは配送密度の向上ですね。マイクロハブを配送エリアの中心に置くことで、1人のドライバーが1日に回れる配送件数が飛躍的に増えます。実際、従来方式と比較して配送効率は約40%向上しました。また、拠点が近いため電動アシスト自転車や小型EVでの配送も可能になり、環境負荷も大幅に削減できています。さらに、地域の雇用創出にもつながっていて、現在は主婦層やシニア層など多様な人材が活躍してくれています。
編集部
不動産コストの高い都心部で小型拠点を多数展開するのは、採算面で難しくありませんか。
小野寺社長
確かに当初は不動産オーナーへの説得に苦労しました。ただ、私たちは短期契約と柔軟な拠点配置を武器にしています。需要動向に応じて拠点を増減できる機動性が、むしろコスト効率を高めているんです。また、商業施設の空きスペースや閉店後の店舗を活用するなど、従来活用されていなかった都市空間の有効活用という側面もあり、不動産オーナーにもメリットを提供できています。現在は首都圏に42拠点、関西圏に18拠点を展開中です。
配送効率40%向上の裏には、都市空間の再定義がありました
── 小野寺社長
共同配送プラットフォームへの進化
編集部
2021年からは複数の事業者の荷物を集約する共同配送プラットフォーム事業を開始されています。この展開について詳しく聞かせてください。
小野寺社長
マイクロハブネットワークが一定規模になった段階で、この資産を自社だけで使うのはもったいないと考えました。物流インフラをオープン化し、中小EC事業者や地域の小売店にも開放することで、社会全体の配送効率を高められると確信したんです。現在は約240社の事業者が私たちのプラットフォームを利用しており、各社の荷物を集約して効率的に配送しています。
編集部
共同配送を実現するうえでの技術的な課題はありましたか。
小野寺社長
最も苦労したのは荷物の仕分けと配送ルート最適化のシステム開発ですね。異なる事業者の荷物を混載しながら、それぞれの配送条件を満たす必要があります。私たちは独自のAIアルゴリズムを開発し、リアルタイムで最適な配送ルートを計算できるシステムを構築しました。また、各マイクロハブには自動仕分け設備を導入し、人的ミスを最小化しています。このシステムへの投資は約8億円でしたが、今では当社の競争力の源泉になっています。
編集部
競合他社との差別化ポイントはどこにあるとお考えですか。
小野寺社長
私たちの強みは地域密着型のオペレーションにあります。大手物流企業は全国展開を前提とした標準化されたサービスを提供しますが、私たちは各エリアの特性に合わせた柔軟な対応が可能です。例えば、高齢者が多い地域では見守りサービスを兼ねた配送を行ったり、オフィス街では昼休みの時間指定配送に特化したりと、きめ細かなサービス設計ができます。また、地域の配送員が同じエリアを担当し続けることで、受取人との信頼関係も構築できています。
物流インフラのオープン化が、都市の未来を変える
── 小野寺社長
サステナビリティと今後の展開
編集部
環境への配慮という観点で、御社が取り組んでいる施策について教えてください。
小野寺社長
物流業界は環境負荷が大きい産業ですから、私たちには持続可能な配送モデルを確立する責任があると考えています。現在、配送車両の70%以上が電動アシスト自転車または小型EVです。マイクロハブ戦略により配送距離が短縮されたことで、これらの環境負荷の低い車両での配送が可能になりました。また、配送に使用する梱包材も再利用可能な専用ボックスに切り替えを進めており、2025年までに使い捨て段ボールの使用量を50%削減する目標を掲げています。
編集部
2024年問題と呼ばれるドライバーの労働時間規制強化への対応はいかがですか。
小野寺社長
むしろ私たちにとっては追い風だと捉えています。マイクロハブ方式では配送員の移動距離が短く、1日の労働時間も管理しやすい。長距離トラック運転手のような長時間労働の問題が発生しにくい構造なんです。実際、当社の配送員の平均労働時間は1日6.5時間で、ワークライフバランスを保ちながら働ける環境を実現しています。この働きやすさが人材確保にもつながっていて、離職率は業界平均の半分以下に抑えられています。
編集部
最後に、今後の事業展開のビジョンをお聞かせください。
小野寺社長
短期的には地方都市への展開を加速させます。地方でこそ物流課題は深刻で、私たちのモデルが社会的価値を発揮できると考えています。2025年までに全国20都市、100拠点体制を目指しています。中長期的には、マイクロハブを単なる物流拠点ではなく、地域のコミュニティハブとして進化させたい。例えば、地域の特産品を都市部へ発送する窓口機能や、高齢者向けの買い物代行サービス、さらには災害時の物資供給拠点としての活用など、多面的な価値を提供できる存在にしていきます。物流は社会インフラです。その責任と可能性を胸に、これからも挑戦を続けていきます。
マイクロハブは物流拠点を超え、地域コミュニティの核になる
── 小野寺社長
まとめ
・都心部に小型拠点「マイクロハブ」を分散配置する独自戦略で配送効率40%向上を実現
・複数事業者の荷物を集約する共同配送プラットフォームを構築し、約240社が利用
・配送車両の70%以上を電動アシスト自転車・小型EVにし、環境負荷を大幅削減
・2025年までに全国20都市100拠点体制を目指し、地域コミュニティハブとしての機能拡充を計画
・複数事業者の荷物を集約する共同配送プラットフォームを構築し、約240社が利用
・配送車両の70%以上を電動アシスト自転車・小型EVにし、環境負荷を大幅削減
・2025年までに全国20都市100拠点体制を目指し、地域コミュニティハブとしての機能拡充を計画
企業情報
| 会社名 | 株式会社メトロウェイロジスティクス |
|---|---|
| 業種 | 物流・サプライチェーン |
| 役職 | 代表取締役社長 |
| 代表者 | 小野寺 健一郎 |