地方の眠れる商品を発掘し、ストーリーとともに届けるD2Cプラットフォーム。創業5年で取扱店舗数800店、年商20億円を突破した水野CEOに、新しい流通の設計思想を聞く。
地方商店街との出会いが生んだビジネスモデル
編集部
水野さんは大手総合商社を経て起業されました。流通業界に参入したきっかけを教えてください。
水野CEO
商社時代は海外の消費財ビジネスを担当していたのですが、日本国内の地方を訪れるたびに、素晴らしい商品を持ちながら販路がなくて困っている事業者の方々にたくさん出会ったんです。一方で都市部の消費者は「本物」を求めているのに情報が届いていない。この需給ギャップを解決したいと思ったのが起業のきっかけです。創業は2019年、当時32歳でした。
編集部
最初から現在のようなD2Cプラットフォームの形だったのですか。
水野CEO
いえ、最初は石川県の金沢市で3店舗の商店街再生プロジェクトから始めました。実店舗での接客を通じて、お客様が求めているのは商品そのものだけでなく、つくり手のストーリーや背景にある文化だと気づいたんです。そこからオンラインでもそのストーリーを伝えられるプラットフォーム「リリンクマーケット」を立ち上げました。現在は全国47都道府県800店舗以上の事業者さんと提携しています。
編集部
プラットフォームの特徴はどこにあるのでしょうか。
水野CEO
一般的なECモールと違うのは、私たちが必ず現地に足を運んで事業者さんを取材し、商品の背景にあるストーリーを編集して伝える点です。専属のライターとカメラマンがチームを組んで、年間200店舗以上を訪問しています。単なる商品カタログではなく、読み物として楽しめるコンテンツになっているので、平均滞在時間は一般的なECサイトの3倍以上です。
お客様が求めているのは商品だけでなく、つくり手のストーリーや背景にある文化なんです
── 水野CEO
地域事業者と消費者をつなぐ「編集」の力
編集部
単なる販売プラットフォームではなく、メディアとしての側面も強いのですね。
水野CEO
まさにその通りです。私たちは自社を「流通×メディア企業」と定義しています。商品を売る前に、まずファンをつくるというアプローチです。実際、サイトを訪れる人の40%は購入前に複数回訪問して記事を読んでくださっています。商品への理解が深まることで、購入後の満足度も高く、リピート率は65%に達しています。
編集部
地域の事業者さんからの反応はいかがですか。
水野CEO
「売上が3倍になった」「後継者が見つかった」といった声をいただいています。特に印象的だったのは、秋田県で伝統工芸品を作っている70代の職人さんです。跡継ぎがいなくて廃業を考えていたのですが、私たちのプラットフォームで全国にファンができて、「自分の仕事に誇りを持てるようになった」と。その姿を見た息子さんが東京の会社を辞めて戻ってきたんです。単なる売上だけでなく、地域の誇りや文化を次世代につなぐ役割も担えていると実感しました。
編集部
事業者さんの選定基準はありますか。
水野CEO
商品の質は大前提ですが、それ以上に大切にしているのは「持続可能性」と「ストーリーの真正性」です。一時的なブームではなく、10年後、20年後も続けられるものづくりをしているか。そして、そこに嘘のない本物のストーリーがあるか。この2点を重視しています。だからこそ、必ず現地に足を運んで、実際にお会いして判断しています。オンラインだけでは分からないことがたくさんありますから。
編集部
取材体制はどのように構築されているのですか。
水野CEO
現在、編集チームは15名です。全員が地方での取材経験を持つライターやカメラマンで、中には地方移住を選択したメンバーもいます。単なる商品紹介ではなく、その土地の歴史、気候、人々の暮らしまで含めて伝えることを大切にしています。1つの記事を作るのに平均2〜3日かけていますが、それが私たちの価値の源泉だと考えています。
単なる売上だけでなく、地域の誇りや文化を次世代につなぐ役割も担えている
── 水野CEO
サブスクリプションモデルと海外展開への挑戦
編集部
ビジネスモデルについて詳しく教えてください。
水野CEO
収益の柱は3つあります。1つ目は販売手数料で、これが全体の60%。2つ目が月額制のサブスクリプションサービス「リリンクセレクト」で30%。3つ目が企業向けのギフトソリューションで10%です。特にサブスクは成長が著しく、毎月テーマに沿った地域の商品をキュレーションしてお届けするサービスで、会員数は現在3万人を超えています。
編集部
サブスクリプションモデルに注目した理由は何でしょうか。
水野CEO
消費者側には「自分では見つけられない出会い」を提供できますし、事業者側には「安定した販路」を提供できます。双方にとってWin-Winの関係を築けるんです。また、サブスク会員のLTV(顧客生涯価値)は通常購入者の約5倍で、ビジネスの安定性にも寄与しています。毎月のテーマ設定も楽しんでもらえていて、例えば「発酵文化を巡る旅」「海の幸特集」など、ストーリー性を持たせています。
編集部
競合との差別化ポイントはどこにありますか。
水野CEO
大手ECモールとは明確に違うポジショニングを取っています。私たちは「早く安く」ではなく「深く長く」というコンセプトです。商品数を増やすことよりも、一つひとつの商品のストーリーを丁寧に伝えることを優先しています。また、事業者さんとは単なる取引関係ではなく、パートナーとして長期的な関係を築いています。商品開発の相談に乗ったり、ブランディング支援をしたり、売った後のフォローも手厚く行っています。
編集部
今後の展開について教えてください。
水野CEO
2025年は海外展開を本格化させます。すでにシンガポールとアメリカ西海岸で小規模なテストマーケティングを始めていて、日本の地域文化への関心の高さを実感しています。特に富裕層の間で「オーセンティックな日本」を求める声が強い。ただし、単に商品を輸出するのではなく、現地でもストーリーを丁寧に伝える体制を整えてから本格展開したいと考えています。
編集部
水野さんの考える「次世代流通」のビジョンを聞かせてください。
水野CEO
流通は本来、単なるモノの移動ではなく、文化や価値観を伝える役割を持っていたはずです。グローバル化や効率化の中で失われてしまったその本質を、テクノロジーの力で再構築したい。地域のつくり手が誇りを持って仕事を続けられ、消費者が本当に価値あるものと出会え、そして次世代に文化がつながっていく。そんな「つながりの循環」を生み出す流通インフラを作りたいと思っています。それが社名「リリンク(Re-Link)」に込めた想いでもあります。
まとめ
・地方の優れた商品とストーリーを編集して届けるD2Cプラットフォームで、創業5年で年商20億円を達成
・専属チームが年間200店舗以上を取材し、商品の背景にある文化やつくり手の想いを丁寧に伝えるメディア型EC
・月額制サブスクリプションサービスは会員3万人超、リピート率65%と高い顧客ロイヤルティを実現
・2025年は海外展開を本格化し、日本の地域文化を世界に発信する「次世代流通インフラ」の構築を目指す
・専属チームが年間200店舗以上を取材し、商品の背景にある文化やつくり手の想いを丁寧に伝えるメディア型EC
・月額制サブスクリプションサービスは会員3万人超、リピート率65%と高い顧客ロイヤルティを実現
・2025年は海外展開を本格化し、日本の地域文化を世界に発信する「次世代流通インフラ」の構築を目指す
企業情報
| 会社名 | 株式会社リリンク |
|---|---|
| 業種 | 流通・小売・EC |
| 役職 | 代表取締役CEO |
| 代表者 | 水野 絵里 |