北陸を拠点に全国300店舗超のネットワークを構築。独自のOMO戦略で実店舗とECを融合させ、地域密着型の新しい流通モデルを確立した吉岡社長に、その成功の秘訣を聞いた。
地方の小売店を救う「地域連携EC」という発想
編集部
吉岡社長が創業されたネクストリテールは、地方の中小小売店を支援する独自のビジネスモデルで注目されています。まず、創業の経緯からお聞かせください。
吉岡社長
私は元々、大手スーパーの店舗運営に15年ほど携わっていました。その間、地方都市の店舗で勤務する中で、個人経営の小売店が次々と廃業していく現実を目の当たりにしたんです。後継者不足、EC大手との競争、人口減少――理由は様々ですが、地域に根差した良い店が消えていくのは本当にもったいないと感じていました。2015年に独立を決意したのは、これらの店舗を何とか活性化できないかと考えたからです。
編集部
具体的にどのような支援を行っているのでしょうか。
吉岡社長
私たちの主力事業は「地域連携EC」と呼んでいるプラットフォームの提供です。これは複数の地方小売店が共同で商品を出品できるECサイトで、物流やデジタルマーケティング、決済などのバックエンドを我々が一括で担います。個店では難しいネット販売も、当社のシステムを使えば月額3万円から始められます。現在、北陸を中心に約320店舗が参加しており、累計会員数は45万人を超えました。
編集部
大手ECモールとの差別化ポイントはどこにありますか。
吉岡社長
最大の特徴は、実店舗との連携を前提にしている点です。例えば、ECサイトで注文した商品を最寄りの加盟店で受け取れる仕組みや、店舗でのポイントとECのポイントを統合したシステムなどを提供しています。お客様は送料無料で商品を受け取れ、店舗側も来店機会が増える。さらに、地域の特産品や職人の手作り商品など、大手にはない独自商材を揃えることで、「ここでしか買えない」という価値を生み出しています。
地方の小売店が持つ人との繋がりや信頼こそが、最大の競争優位性なんです
── 吉岡社長
データドリブン経営で実現する在庫最適化
編集部
小売業において在庫管理は永遠の課題です。貴社ではどのような工夫をされていますか。
吉岡社長
これは創業当初から最も力を入れてきた分野です。我々はAIを活用した需要予測システムを独自開発しています。加盟店から集約される販売データ、気象データ、地域イベント情報などを機械学習で分析し、店舗ごとに最適な発注量を提案します。導入店舗では平均して在庫回転率が1.4倍に向上し、廃棄ロスは約30%削減できています。
編集部
中小の店舗経営者がそうした高度なシステムを使いこなせるのでしょうか。
吉岡社長
おっしゃる通り、当初はそこが大きな課題でした。そこで我々は「訪問型DXサポート」という仕組みを作りました。全国に約40名の専任コンサルタントを配置し、月1回必ず店舗を訪問して、システムの使い方から販促施策まで伴走支援するんです。特に60代以上の経営者の方々には、タブレット操作から丁寧にレクチャーします。最初は抵抗があった方も、売上が目に見えて改善すると、積極的に活用してくださるようになりますね。
編集部
システム導入の効果を実感するまで、どれくらいの期間がかかりますか。
吉岡社長
平均すると3〜4ヶ月で効果が表れ始めます。石川県のある食品スーパーの事例では、導入後半年で売上が前年比18%増、営業利益率が2.3ポイント改善しました。この店舗では、データ分析によって地域の高齢者向けに小分け商品の品揃えを強化したことが奏功しました。数字で成果が見えると、経営者の方々のモチベーションも大きく上がります。
データは嘘をつきません。でも、データを読み解き行動に移すのは人間です
── 吉岡社長
サステナブルな地域流通の未来像
編集部
近年、サステナビリティへの関心が高まっています。貴社の取り組みについて教えてください。
吉岡社長
地域流通そのものが、実は非常にサステナブルなモデルだと考えています。地産地消を促進することで輸送距離が短縮され、CO2排出量が削減できます。また、規格外野菜を加工食品として販売するマッチング機能や、消費期限の近い商品を割引販売する「フードレスキュー」コーナーをECサイトに設けるなど、食品ロス削減にも注力しています。昨年は約120トンの食品廃棄を防ぐことができました。
編集部
今後の展開として、どのような構想をお持ちですか。
吉岡社長
2025年は「地域物流ネットワークの構築」に本格着手します。加盟店舗間で余剰在庫を融通し合える仕組みや、地域の配送業者と連携した共同配送システムを整備する予定です。また、現在は北陸・東海エリアが中心ですが、今後3年で九州、中国地方にもエリアを拡大し、加盟店舗を500店規模まで増やす計画です。年商も現在の80億円から150億円を目指しています。
編集部
最後に、地方の小売業の未来についてメッセージをお願いします。
吉岡社長
地方の小売業には、大手にはない「人間味」と「地域への愛着」という強みがあります。デジタル化が進む時代だからこそ、この強みを活かすべきです。テクノロジーは手段に過ぎません。本当に大切なのは、お客様一人ひとりと向き合い、地域社会に貢献する姿勢です。私たちはこれからも、地方の小売店が輝き続けられるよう、全力でサポートしていきます。地域とともに成長する流通業の未来を、一緒に作っていきたいですね。
地方には地方の戦い方がある。その可能性を信じています
── 吉岡社長
まとめ
・地方小売店320店舗が参加する「地域連携EC」で、実店舗とオンラインを融合した独自のOMO戦略を展開
・AI需要予測システムにより在庫回転率1.4倍、廃棄ロス30%削減を実現し、データドリブン経営を支援
・訪問型DXサポートで中小店舗のデジタル化を伴走支援、導入後3〜4ヶ月で効果を実感
・地産地消促進と食品ロス削減で年間120トンの廃棄を防止、サステナブルな地域流通モデルを構築し、3年で年商150億円・加盟店500店舗を目指す
・AI需要予測システムにより在庫回転率1.4倍、廃棄ロス30%削減を実現し、データドリブン経営を支援
・訪問型DXサポートで中小店舗のデジタル化を伴走支援、導入後3〜4ヶ月で効果を実感
・地産地消促進と食品ロス削減で年間120トンの廃棄を防止、サステナブルな地域流通モデルを構築し、3年で年商150億円・加盟店500店舗を目指す
企業情報
| 会社名 | 株式会社ネクストリテール |
|---|---|
| 業種 | 流通・小売・EC |
| 役職 | 代表取締役社長 |
| 代表者 | 吉岡 隆一 |