シード特化型VCの新潮流——SeedHub Venturesが描く「初期投資×ハンズオン支援」の未来
スタートアップ・VC

シード特化型VCの新潮流——SeedHub Venturesが描く「初期投資×ハンズオン支援」の未来

シード投資に特化し、起業家とともに0→1を創る

株式会社SeedHub Ventures

三田 絵理
代表取締役Managing Partner 三田 絵理 株式会社SeedHub Ventures

創業3年で約40社への投資を実現し、ポートフォリオ企業の8割が次のラウンドに到達。スタートアップの最初期を支えるVCとして、三田氏が語る投資哲学とは。

「スタートアップの最初の仲間」として寄り添う投資スタイル

東京・渋谷のオフィスで私たちを迎えてくれた三田絵理氏は、笑顔で「スタートアップ投資は、恋愛に似ている」と語り始めた。株式会社SeedHub Venturesは、2021年設立のシード・プレシリーズA特化型ベンチャーキャピタルだ。ファンドサイズは第1号ファンドが30億円、現在組成中の2号ファンドは50億円規模を目指している。

「私たちは1社あたり3,000万円〜1億円のチケットサイズで投資します。でも、金額以上に大切なのは、起業家との関係性です」と三田氏。同社の特徴は、投資先に対する徹底したハンズオン支援にある。投資チーム5名に対し、支援専門チームを7名配置する体制は、VCとしては異例だ。

三田氏自身、大手事業会社で新規事業開発に携わった後、外資系VCを経て独立した経歴を持つ。「事業を創る苦しさも、投資判断の難しさも両方経験したからこそ、起業家が本当に必要とする支援が見えてくる」と振り返る。現在のポートフォリオは約40社で、SaaS、HR Tech、Climate Techの3領域に集中投資している。

「勝率8割」を実現する投資判断のメソッド

SeedHub Venturesの投資先企業のうち、約8割が次のラウンドでの資金調達に成功している。この数字は業界平均の5割程度を大きく上回る。その秘訣について、三田氏は「PMF(Product Market Fit)の手前で投資するという明確な基準」だと説明する。

「多くのVCは、ある程度トラクションが見えてから投資します。でも私たちは、まだプロダクトが完成していない段階、創業者のビジョンと初期仮説の解像度で判断する。だからこそ、その後の伴走が不可欠なんです」

投資判断では、TAM(Total Addressable Market)が最低でも1,000億円以上あること、創業者が課題に対して「当事者性」を持っていることを重視する。「数字のエクセルシートよりも、なぜその事業をやるのか、という物語を聞きます。シードでは情熱と論理性の両立が見極めポイントです」

実際の投資プロセスは、初回面談から投資実行まで平均6週間。デューデリジェンスでは、市場調査、競合分析に加え、創業者の過去の同僚や上司へのリファレンスチェックを必ず行う。「人物評価に時間をかけます。ピボットは前提ですが、創業者は変えられませんから」と三田氏は強調する。

シード投資は確率論ではなく、一社一社と真剣に向き合う覚悟の勝負。だからこそ、年間の投資社数は10〜15社に絞り込んでいます。

三田 絵理

投資後支援——「グロースハブ」プログラムの全貌

SeedHub Venturesの真骨頂は、投資後の支援体制にある。同社が独自に開発した「グロースハブ」と呼ばれるプログラムでは、投資先企業に対して、資金繰り管理、採用支援、PR戦略、次回ラウンドの準備まで、フルスタックな支援を提供する。

「特に力を入れているのがタレント採用支援です」と三田氏。同社は、大手IT企業やコンサルティングファーム出身者など、約2,000名の候補者データベースを構築。ポジションごとに最適な人材を紹介し、面接のフィードバックまで行う。「シード期のスタートアップにとって、創業メンバーの次の1人が事業の成否を分けます」

また、月次での1on1ミーティングも特徴的だ。数字のレビューだけでなく、創業者のメンタルケアも重視する。「資金調達後の孤独感、競合出現の不安、共同創業者との軋轢……スタートアップCEOの悩みは尽きません。私たちは単なる投資家ではなく、最初の仲間でありたい」

さらに、年2回開催されるポートフォリオサミットでは、投資先同士の横のつながりを創出。「セールスノウハウの共有、相互送客、共同開発など、エコシステム内でのシナジーが生まれています」と三田氏は目を輝かせる。実際に、ポートフォリオ企業同士のビジネスマッチングは累計で30件以上成立している。

日本のVC業界が抱える課題と未来への展望

日本のVC市場は拡大傾向にあるものの、米国と比較すると依然として規模が小さい。三田氏は「日本にはリスクマネーの総量不足と、エグジット環境の未成熟さという2つの構造的課題がある」と指摘する。

「特にシード・アーリー領域では、海外VCの資金が入りにくい。結果として、優秀な起業家が初期に十分な資金を得られず、成長スピードが遅れる。また、IPO偏重の市場では、M&Aという選択肢が育ちにくい」

一方で、近年は変化の兆しも見える。CVCの活発化、個人投資家層の拡大、政府のスタートアップ支援策などにより、エコシステム全体が成熟しつつある。「2024年はスタートアップ育成5か年計画の3年目。ようやく成果が見え始める時期です」と三田氏は期待を寄せる。

SeedHub Ventures自体も、今後は東南アジア市場への投資を視野に入れる。「日本で成功したビジネスモデルを、ASEAN諸国に展開する。逆に、現地の起業家と日本企業を繋ぐ橋渡し役にもなりたい。クロスボーダーのシード投資には大きな可能性があります」

最後に、これから起業を考える人へのメッセージを聞いた。「完璧な事業計画は要りません。でも、解くべき課題への強い想いと、実行し続ける覚悟は必要です。そして、信頼できるVCを早めに見つけてください。スタートアップは孤独な戦いではない。私たちのような仲間がいます」

日本から世界に通用するスタートアップを生み出す。そのためには、シードという最初の一歩を支える存在が絶対に必要。それが私たちの存在意義です。

三田 絵理

インタビューを終えて席を立つ三田氏の表情からは、スタートアップエコシステムの未来への確かな自信が感じられた。SeedHub Venturesの挑戦は、日本のVC業界に新しい風を吹き込み続けている。

📝 まとめ
・SeedHub Venturesはシード特化型VCとして、1社3,000万円〜1億円規模で約40社に投資
・投資先の8割が次ラウンド到達という高い成功率を実現する独自の投資判断メソッド
・「グロースハブ」プログラムによる採用支援、月次1on1など徹底したハンズオン支援体制
・日本のVC市場の課題を指摘しつつ、東南アジア展開など新たな挑戦を視野に

🏢企業情報

会社名 株式会社SeedHub Ventures
業種 スタートアップ・VC
役職 代表取締役Managing Partner
代表者 三田 絵理
← 一覧に戻る

取材をご希望の企業様へ

VERIQ Pressでは、企業の価値を伝えるインタビュー記事の取材を受け付けております。御社の魅力を広く発信しませんか?

お問い合わせはこちら