地域分散型エネルギーで地方創生を実現する―株式会社グリーンハーベスト
エネルギー・環境・SDGs

地域分散型エネルギーで地方創生を実現する―株式会社グリーンハーベスト

農村地域の再エネ資源を活用し、持続可能な地域経済圏を構築する

株式会社グリーンハーベスト

吉野 健太郎
代表取締役CEO 吉野 健太郎 株式会社グリーンハーベスト

過疎化が進む地方に再生可能エネルギー事業と雇用をもたらし、地域が主体となって稼げる仕組みを創出。エネルギーと食、雇用を統合した新しい地方創生モデルとは。

地域に根ざした再エネ事業の可能性

編集部
グリーンハーベストは地方の農村部を中心に再生可能エネルギー事業を展開されていますが、創業の経緯を教えてください。
吉野CEO
私は元々、大手エネルギー商社で再エネプロジェクトの開発に携わっていました。全国各地のプロジェクトを担当する中で、地方では豊富な再エネ資源があるにもかかわらず、その恩恵が地域に還元されていないという矛盾を強く感じたんです。大規模な太陽光発電所が建設されても、資本は都市部の企業、利益も外部に流出し、地域には固定資産税くらいしか残らない。これでは持続可能な地域発展にはつながりません。2018年に独立し、地域が主体となって再エネ事業を運営できる仕組みづくりを始めました。
編集部
具体的にどのような事業モデルなのでしょうか。
吉野CEO
私たちは「地域エネルギー協同組合」というスキームを核にしています。まず地域の農家や住民、地元企業、自治体などと共同で組合を設立します。そこに我々が技術支援と初期投資の一部を提供し、遊休農地や耕作放棄地を活用した営農型太陽光発電、小水力発電、バイオマス発電などを展開します。重要なのは、売電収益の大半が地域に還元される構造にすること。組合員には配当が入り、地域の公共施設の電気代削減にも貢献します。現在、全国12の地域で事業を展開し、約350名の雇用を生み出しています。
編集部
営農型太陽光発電というのは、農業と発電を両立させるものですか。
吉野CEO
その通りです。ソーラーシェアリングとも呼ばれますが、農地の上に支柱を立てて太陽光パネルを設置し、下部では農作物を栽培するシステムです。パネルの配置を工夫することで、作物に必要な日照は確保しながら発電も行えます。特に高齢化で担い手不足に悩む地域では、農業収入に加えて安定的な売電収入が得られることで、若い世代が農業に参入しやすくなります。実際に私たちのプロジェクトでは、30代の新規就農者が複数生まれています。

地方の豊富な再エネ資源を、地域が主体となって活用できる仕組みこそが、真の地方創生につながる

── 吉野CEO

エネルギーと地域経済の循環モデル

編集部
地域内でエネルギーを消費する仕組みも構築されているのでしょうか。
吉野CEO
はい、それが次のステップです。発電した電力を大手電力会社に売るだけでなく、地域新電力会社を設立して地域内で電力を融通する仕組みを作っています。例えば、秋田県の山間部で展開しているプロジェクトでは、小水力発電で得た電力を地域の学校、役場、商店、工場などに供給しています。電気料金は大手より5〜10%安く設定でき、住民の生活コストも下がります。さらに非常時には地域だけで電力を自給できる「エネルギーの地産地消」が実現できるんです。
編集部
災害時のレジリエンス向上にもつながりますね。
吉野CEO
まさにその通りです。2019年の台風災害では、広域停電が大きな問題になりました。私たちが支援している地域では、自立運転が可能な蓄電池システムと組み合わせることで、災害時も最低限の電力供給を継続できます。実際、ある地域では台風による停電時も、避難所や医療施設への電力供給を維持できました。エネルギーセキュリティの観点からも、分散型電源は非常に重要です。
編集部
初期投資の負担が大きいと思いますが、資金調達はどのように。
吉野CEO
地域金融機関との連携が鍵になります。地方銀行や信用金庫は、地域経済の活性化が自らの経営基盤強化にもつながるため、こうしたプロジェクトに前向きです。また最近ではESG投資やグリーンボンドの資金も活用しています。都市部の投資家にとっても、明確な社会的インパクトがある投資先として評価されています。加えて、環境省や経済産業省の補助金制度も活用しながら、地域の負担を最小化する工夫をしています。
編集部
収益性と社会性のバランスはどう考えていますか。
吉野CEO
私たちは「適正利益」という考え方を大切にしています。過度な利益追求ではなく、事業が持続的に運営でき、地域に還元できる範囲で適正な利益を確保する。投資家にも、短期的な高リターンではなく、長期的・安定的なリターンと社会的価値の両立を理解いただいています。実際、IRR(内部収益率)は5〜7%程度ですが、10年以上の長期で安定的なキャッシュフローが見込めることと、SDGsへの貢献が明確であることを評価していただいています。

過度な利益追求ではなく、適正利益で事業を持続させ、地域に還元する。それがソーシャルビジネスの本質です

── 吉野CEO

次世代につなぐ持続可能な地域づくり

編集部
今後の展望について教えてください。
吉野CEO
現在、全国で30以上の地域から相談をいただいています。今後5年間で、支援地域を50カ所に拡大し、地域での雇用創出を1000名規模にすることを目指しています。また、エネルギー事業だけでなく、地域の農産物をブランド化して都市部に販売する6次産業化や、再エネ事業を学ぶ教育プログラムなども展開したいと考えています。エネルギーを入口に、地域の総合的な価値を高めていく取り組みですね。
編集部
6次産業化との連携は興味深いですね。
吉野CEO
ソーラーシェアリングで栽培された農産物は、「再エネ農業」として付加価値を付けられます。実際、CO2排出量を大幅に削減した農業として、環境意識の高い消費者や企業から引き合いがあります。ある地域では、営農型太陽光の下で栽培したブルーベリーを「ソーラーベリー」としてブランド化し、都市部の高級スーパーで通常の1.5倍の価格で販売できています。エネルギーと食、両方で付加価値を生み出せるのが強みです。
編集部
若い世代への継承という点ではいかがですか。
吉野CEO
非常に重要なテーマです。私たちは地域の高校や大学と連携して、「地域エネルギーアカデミー」という教育プログラムを実施しています。再エネの技術だけでなく、地域ビジネスの作り方、ファイナンス、マーケティングなど総合的に学べる場です。プログラムの修了生が実際に地域に戻って事業に参画するケースも出てきています。地方創生の鍵は、やはり「人」なんです。
編集部
SDGsとの関連ではどのような目標に貢献していますか。
吉野CEO
私たちの事業は複数のSDGs目標に直結しています。目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」はもちろん、目標8「働きがいも経済成長も」として地域雇用創出、目標11「住み続けられるまちづくりを」として地域活性化、目標13「気候変動に具体的な対策を」としてCO2削減に貢献しています。一つの事業で複数の社会課題を同時解決できるのが、このモデルの強みだと自負しています。
編集部
最後に、同じように地域課題に取り組もうとしている方々へメッセージをお願いします。
吉野CEO
地方には本当に多くの可能性が眠っています。都市部の視点や既存の枠組みにとらわれず、地域の人々と徹底的に対話し、その地域ならではの資源と課題を見つめることが大切です。そして何より、地域の人たちが主役であるという姿勢を忘れないこと。私たちはあくまで黒子であり、触媒です。地域の人々が自信と誇りを持って、自分たちの未来を創っていけるようサポートする。それこそが持続可能な地域づくりの本質だと信じています。一緒に日本の地方を元気にしていきましょう。

地域の人々が主役。私たちは黒子として、彼らが未来を創る力を引き出すだけです

── 吉野CEO
📝 まとめ
・地域エネルギー協同組合モデルで、再エネ収益を地域に還元し12地域で350名の雇用創出
・営農型太陽光発電で農業と発電を両立、若手の新規就農を促進
・地域新電力で電力の地産地消を実現、災害時のレジリエンスも向上
・6次産業化や教育プログラムと連携し、エネルギーを入口とした総合的な地域価値向上を目指す

🏢企業情報

会社名 株式会社グリーンハーベスト
業種 エネルギー・環境・SDGs
役職 代表取締役CEO
代表者 吉野 健太郎
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