AIとヒトの力で採用を変える――株式会社タレントフロー 水野CEOが語る次世代HRテックの全貌
人材・HRテック

AIとヒトの力で採用を変える――株式会社タレントフロー 水野CEOが語る次世代HRテックの全貌

採用の「見えない才能」を可視化し、企業と人材の最適マッチングを実現

株式会社タレントフロー

水野 健太郎
代表取締役CEO 水野 健太郎 株式会社タレントフロー

創業5年で導入企業3,000社突破。独自のAI分析技術と行動心理学を融合させた採用支援プラットフォームで、採用ミスマッチを70%削減する革新的サービスを展開中。

創業の原点――人事の現場で感じた課題

編集部
まず、タレントフローを立ち上げた背景についてお聞かせください。水野さんはもともと大手人材会社でキャリアを積まれていたとお聞きしています。
水野CEO
はい、新卒で入社した人材大手で約8年間、法人営業と採用コンサルティングを担当していました。そこで痛感したのが、企業側も求職者側も、お互いの「本質的な相性」を見極められていないという現実です。履歴書や面接だけでは、その人の本当のポテンシャルや組織適合性は測れません。結果として、入社後のミスマッチが頻発し、早期離職につながっていました。年間数百社の採用支援をする中で、この構造的な問題をテクノロジーで解決できないかと考えたのが起業のきっかけです。
編集部
具体的に、どのような課題が最も深刻だと感じましたか?
水野CEO
最も深刻だったのは、採用担当者の「勘と経験」に依存しすぎている点です。もちろん人を見る目は重要ですが、それだけでは再現性がありません。特に中小企業では採用ノウハウが属人化しており、担当者が変わると採用基準もブレてしまう。また、求職者側も「企業の雰囲気」や「実際の働き方」が入社前には分からず、期待と現実のギャップに苦しむケースが多かったんです。双方の情報の非対称性を解消することが、HRテック企業の使命だと考えました。
編集部
そこから実際に起業に踏み切るまで、どのような準備をされたのでしょうか?
水野CEO
実は起業前の1年間、週末を使って約200社の人事担当者にヒアリングを重ねました。同時に、行動心理学や組織行動論の専門家とも連携して、科学的根拠のあるアセスメント手法を研究しました。そこで出会ったのが、現在CTOを務める元Google Japanのエンジニア、藤田です。彼の持つ機械学習の知見と、私の人事領域での経験を掛け合わせることで、独自のタレント分析アルゴリズムを開発できると確信し、2019年に共同創業しました。

履歴書や面接だけでは測れない「本質的な相性」を可視化することが、私たちのミッションです

── 水野CEO

タレントフローの独自技術とサービス展開

編集部
御社のコアサービスについて詳しく教えてください。他の採用支援サービスとの違いはどこにあるのでしょうか?
水野CEO
当社の主力サービス「TalentFlow Analytics」は、行動データ、スキルデータ、価値観データの3軸で候補者を多角的に分析します。具体的には、応募者にゲーム形式のアセスメントに取り組んでもらい、その過程での意思決定パターン、問題解決アプローチ、ストレス耐性などを測定します。従来の適性検査が「答え」を見るのに対し、私たちは「プロセス」を見るんです。これにより、本人も気づいていない潜在能力や行動特性を可視化できます。
編集部
AIによる分析が中心になるかと思いますが、バイアスや公平性についてはどう担保しているのですか?
水野CEO
非常に重要なご質問です。AIの判断には必ずバイアスのリスクがあります。そのため当社では、AIはあくまで「推薦」までに留め、最終判断は必ず人間が行う設計にしています。また、学習データには性別・年齢・学歴などの属性情報を意図的に含めず、純粋に行動パターンとパフォーマンスの相関だけを学習させています。さらに四半期ごとに外部の倫理委員会によるアルゴリズム監査を受け、公平性を検証しています。テクノロジーの力を信じつつも、人間の判断と倫理観を最重視する姿勢は譲れません。
編集部
導入企業の反応や、実際の成果についてはいかがですか?
水野CEO
おかげさまで現在3,000社以上に導入いただいていますが、特に印象的なのは入社後3年間の定着率が平均で28ポイント向上した事例ですね。ある製造業の企業では、従来の採用手法では1年以内の離職率が35%だったのが、当社サービス導入後は12%まで低下しました。これは単にマッチング精度が上がっただけでなく、候補者自身も自分の特性と企業文化の相性を理解した上で入社を決断できるようになったからです。ミスマッチによる不幸を減らせていることが、最大の成果だと考えています。
編集部
今後の機能拡張や新サービスの展開予定はありますか?
水野CEO
2024年春には、入社後のタレントマネジメント機能を追加します。採用で終わりではなく、配属、育成、キャリア開発まで一気通貫で支援するプラットフォームへと進化させます。また、従業員のエンゲージメントをリアルタイムで測定し、離職リスクを事前に検知する機能も開発中です。人事データを統合的に分析することで、組織全体の健康状態を可視化し、戦略的な人材マネジメントを実現したいと考えています。

AIは「推薦」まで。最終判断は人間が行う。これが私たちのテクノロジー活用の原則です

── 水野CEO

HRテック業界の未来と経営者としての想い

編集部
HRテック業界全体の動向について、水野さんはどう見ていらっしゃいますか?
水野CEO
この5年で市場は急成長しましたが、まだ本質的な変革は始まったばかりだと感じています。多くのサービスが「業務効率化」に留まっていて、人材マネジメントの質的転換までは実現できていません。これから重要になるのは、個人のキャリア自律を支援しながら、組織の成長にも貢献できる仕組みです。従業員一人ひとりが自分の強みを活かせる環境で働き、企業も最適な人材配置ができる。そんな「人と組織の共創」を実現するテクノロジーが求められていると思います。
編集部
グローバル展開についてはどのようにお考えですか?
水野CEO
実は昨年からシンガポールとベトナムで実証実験を開始しています。アジア圏では日本以上に労働市場の流動性が高く、企業の採用課題も深刻です。ただし、各国の労働文化や価値観に合わせたローカライズが不可欠です。日本で有効なアセスメント手法が、そのまま他国で通用するとは限りません。現地のパートナー企業や大学研究機関と連携しながら、各市場に最適化したサービスを提供していく予定です。2025年中にはアジア5カ国での本格展開を目指しています。
編集部
経営者として大切にしている価値観や、今後の展望について教えてください。
水野CEO
私が最も大切にしているのは「テクノロジーは手段であり、目的は人の幸せ」という考え方です。どんなに優れたAIを開発しても、それが人々のキャリアや人生を豊かにしなければ意味がありません。当社のミッションは「すべての人が才能を活かせる社会をつくる」こと。採用市場では毎年何百万人もの人が職を探し、企業も人材を求めています。そこに最適なマッチングを提供することで、個人の可能性が最大限発揮され、企業も成長し、社会全体が活性化する。そんな好循環を生み出すプラットフォームを目指しています。
編集部
最後に、これから起業を考えている方や、HRテック分野に興味がある方へメッセージをお願いします。
水野CEO
HRテックは、人の人生に直接影響を与える責任の重い領域です。だからこそ、深い使命感と倫理観を持って取り組んでほしいと思います。テクノロジーのトレンドを追うだけでなく、現場の課題を徹底的に理解し、本当に価値あるソリューションを提供する。それが長期的な成功につながります。私自身、まだまだ道半ばですが、志を同じくする仲間と共に、日本の人材市場に革新を起こしていきたいと考えています。ぜひ一緒に、働くことの意味を再定義していきましょう。

テクノロジーは手段であり、目的は人の幸せ。この原則を忘れずに事業を成長させていきます

── 水野CEO
📝 まとめ
・大手人材会社での経験から採用ミスマッチの構造的課題に気づき、2019年に株式会社タレントフローを創業
・行動データ、スキルデータ、価値観データの3軸で候補者を分析する独自のAIアセスメントを開発し、3,000社以上に導入
・AIによる推薦と人間の最終判断を組み合わせ、バイアス排除と公平性を担保する仕組みを構築
・2024年春には入社後のタレントマネジメント機能を追加し、採用から育成まで一気通貫で支援するプラットフォームへ進化予定。アジア展開も視野に

🏢企業情報

会社名 株式会社タレントフロー
業種 人材・HRテック
役職 代表取締役CEO
代表者 水野 健太郎
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