創業8年で大手クライアント50社超を獲得。元テレビ局ディレクターから転身した水野CEOが語る、PR業界の変革と「伝える技術」の未来像。
PR業界に飛び込んだきっかけと創業の想い
編集部
水野CEOはテレビ局でディレクターをされていたと伺いました。PR業界に転身されたきっかけを教えてください。
水野CEO
10年ほどテレビ局で報道やドキュメンタリーのディレクターをしていました。取材を通じて多くの企業や団体と関わる中で、「本当に価値のある情報が適切に伝わっていない」という現実を何度も目にしたんです。素晴らしい技術や想いを持っているのに、発信の仕方がわからない、あるいは間違った方法で伝えようとして逆効果になっているケースが非常に多かった。メディア側にいた経験を活かして、企業とメディア、そして生活者をつなぐ「橋渡し役」になりたいと思ったのが創業のきっかけです。
編集部
社名の「ブリッジコミュニケーションズ」も、その想いが込められているのですね。創業当初はどのような事業からスタートされたのでしょうか。
水野CEO
最初はスタートアップ企業のPR支援からスタートしました。資金も知名度もない企業が、いかにメディアに取り上げてもらえるか。テレビ局時代のネットワークを活かしながら、記者が欲しがる「角度」でストーリーを組み立てることに注力しました。創業1年目で担当した5社のうち4社が主要メディアに掲載され、そこから口コミで依頼が増えていきましたね。ただ、当時は私を含めて3人だけのチームだったので、案件を断らざるを得ないこともあり、もどかしかったです。
編集部
そこから現在の規模にまで成長された要因は何だったのでしょうか。
水野CEO
大きなターニングポイントは創業3年目です。ある大手メーカーのブランドリニューアルPRを任せていただいたのですが、その際に従来の記者発表だけでなく、SNSやインフルエンサー施策、さらにはデータ分析を組み合わせた統合型PR戦略を提案しました。結果として想定の3倍以上のメディア露出とSNSエンゲージメントを獲得でき、それが業界内で評判になりました。そこから大手クライアントからの引き合いが増え、組織も拡大していった形です。現在は社員50名、パートナー含めると70名規模になりました。
本当に価値のある情報が適切に伝わっていない現実を変えたかった
── 水野CEO
デジタル時代のPR戦略とデータ活用
編集部
御社の強みである「データドリブンPR」について詳しく教えてください。従来のPRとはどう違うのでしょうか。
水野CEO
従来のPRは、どちらかというと「勘と経験」に頼る部分が大きかったんです。もちろんそれも大切なのですが、デジタル時代においては「誰に」「何が」「どう」届いているかを可視化し、リアルタイムで戦略を最適化していく必要があります。私たちは独自開発したダッシュボードで、メディア露出、SNS反応、検索トレンド、さらには競合他社の動向まで一元管理しています。例えば、プレスリリース配信後の2時間以内にSNSでの反応パターンを分析し、追加施策を打つかどうか判断するといったスピード感です。
編集部
データ分析とクリエイティブな発想は、一見相反するようにも思えますが、どのようにバランスを取っているのでしょうか。
水野CEO
これは本当に重要なポイントです。データはあくまで「羅針盤」であって、「ゴール」ではありません。データから得られるインサイトをもとに、人の心を動かすストーリーをどう紡ぐかが私たちの腕の見せどころです。社内では「データ分析チーム」と「クリエイティブチーム」を明確に分けず、プロジェクトごとに両方のスキルを持つメンバーを配置しています。朝はデータ分析をして、午後はブレストでクリエイティブなアイデアを出す、といった働き方が日常ですね。
編集部
具体的な成功事例を一つ教えていただけますか。
水野CEO
昨年担当した食品メーカーの新商品PRが印象的でした。ターゲットは30代女性だったのですが、SNS分析から「健康志向」だけでなく「罪悪感なく楽しめる」というキーワードが重要だとわかりました。そこで「ギルトフリー」というコンセプトを前面に打ち出し、インフルエンサーには商品の栄養価ではなく「食べる瞬間の幸せ」を語ってもらう戦略に。結果、発売1ヶ月で想定売上の150%を達成し、TikTokでのUGC(ユーザー生成コンテンツ)も1万件を超えました。データとストーリーの融合がうまくいった事例だと思います。
データは羅針盤であって、ゴールではない。人の心を動かすストーリーこそが本質
── 水野CEO
PR業界の未来と人材育成への想い
編集部
PR業界全体の課題や、今後の展望についてどうお考えですか。
水野CEO
最大の課題は「人材不足」と「業界の認知度の低さ」です。欧米に比べて日本ではPRの価値がまだ十分に理解されていないと感じます。広告には何億円も使うのに、PRは「おまけ」程度に考えられているケースも多い。でも実際には、信頼構築やブランドの長期的な価値向上において、PRは不可欠なんです。今後はPRの専門性と重要性をもっと社会に伝えていく必要があります。同時に、AIやテクノロジーの進化によって、PR業務の一部は自動化されていくでしょう。だからこそ、人間にしかできない「共感を生むストーリーテリング」や「関係性構築」のスキルがより重要になります。
編集部
御社では人材育成にも力を入れていると伺いました。具体的にどのような取り組みをされていますか。
水野CEO
年間を通じて体系的な研修プログラムを用意しています。新入社員には3ヶ月間の「PR基礎講座」で、メディアリレーションからライティング、データ分析まで幅広く学んでもらいます。その後は実際のクライアントプロジェクトにアサインし、先輩社員がメンターとして伴走します。また、外部から招いた講師によるワークショップも月1回開催していて、最新のマーケティング理論やデジタルツールについて学ぶ機会を設けています。私自身も月に一度、全社員向けに「業界トレンド勉強会」を開いて、最近気になったニュースやケーススタディを共有しています。
編集部
最後に、これからPR業界を目指す若い世代へメッセージをお願いします。
水野CEO
PR業界は本当に面白い仕事です。企業の想いを社会に届け、人の心を動かし、時には社会そのものを変えていくことができる。毎日が学びの連続で、退屈する暇がありません。ただし、華やかに見える裏側には地道な作業もたくさんあります。メディアリストの作成、リリースの推敲、データ分析など、細部にこだわる姿勢が求められます。でも、それらすべてが積み重なって、クライアントの成功につながる瞬間は本当に感動的です。好奇心旺盛で、人と人をつなぐことが好きな方には最高の仕事だと思います。ぜひ一緒にこの業界を盛り上げていきましょう。当社も常に新しい才能を求めています。
編集部
御社の今後の展望について教えてください。
水野CEO
短期的には、海外展開を視野に入れています。すでにシンガポールとバンコクに提携先があり、日本企業のアジア進出支援を強化していく予定です。また、自社メディアの立ち上げも計画中です。PRのノウハウやケーススタディを発信することで、業界全体のレベルアップに貢献したいですね。長期的には「PR×テクノロジー」の領域でさらなるイノベーションを起こしたい。AIを活用した自動リリース生成ツールや、リアルタイムレピュテーション分析システムなど、すでに開発に着手しているプロジェクトもあります。PRという仕事の可能性を、もっともっと広げていきたいと思っています。
PRは企業の想いを届け、人の心を動かし、社会を変える仕事
── 水野CEO
まとめ
・テレビ局ディレクターからの転身で「価値ある情報を適切に伝える」ことを使命に創業
・データ分析とストーリーテリングを融合させた「データドリブンPR」で大手クライアント50社超を獲得
・SNS分析やリアルタイム最適化など、デジタル時代に対応した統合型PR戦略が強み
・人材育成に注力し、体系的な研修プログラムと実践的なOJTで業界の未来を担う人材を輩出
・データ分析とストーリーテリングを融合させた「データドリブンPR」で大手クライアント50社超を獲得
・SNS分析やリアルタイム最適化など、デジタル時代に対応した統合型PR戦略が強み
・人材育成に注力し、体系的な研修プログラムと実践的なOJTで業界の未来を担う人材を輩出
企業情報
| 会社名 | 株式会社ブリッジコミュニケーションズ |
|---|---|
| 業種 | メディア・広告・PR |
| 役職 | 代表取締役CEO |
| 代表者 | 水野 晴香 |