全国42拠点でスポーツ施設とオンラインプラットフォームを融合させた新しいスポーツクラブを展開。会員数は3年で10万人を突破し、地域コミュニティの活性化にも貢献している。
デジタルとリアルを融合した新しいスポーツクラブのカタチ
編集部
三宅さんが株式会社スポルタを創業されたのは2018年でした。当時はまだコロナ禍前で、従来型のスポーツクラブが主流でしたが、なぜ「デジタル×リアル」という形態を選ばれたのでしょうか。
三宅CEO
実は創業のきっかけは、私自身が地方出身で、地元にまともなスポーツ施設がなかった原体験にあります。都市部には大手のフィットネスクラブがありますが、地方では選択肢が限られている。一方で、デジタル技術の進化により、場所を選ばずにコーチングや仲間とのつながりが得られる時代になっていました。そこで、小規模でも質の高いリアル施設と、オンラインプラットフォームを組み合わせれば、地方でも都市部と変わらないスポーツ体験を提供できると考えたんです。創業当初から、単なるジムではなく「地域のスポーツコミュニティのハブ」を目指していました。
編集部
具体的にはどのようなサービスを展開されているのですか。
三宅CEO
私たちの施設は「コンパクトスポーツハブ」と呼んでいて、200〜300平米程度の小規模施設です。大型ジムのようにマシンをずらりと並べるのではなく、地域特性に合わせたプログラムを提供できる多目的スペースとして設計しています。そしてスマホアプリで、全国のインストラクターによるライブレッスン、録画レッスン、食事管理、他の会員とのコミュニケーションなど、すべてをシームレスに利用できます。例えば、朝は自宅でヨガのオンラインレッスンを受けて、夕方は近所の施設でパーソナルトレーニング、夜は他県の会員とアプリ上でランニングチャレンジに参加する、といった使い方ができるんです。
編集部
オンラインだけでなく、リアル施設にこだわる理由は何でしょうか。
三宅CEO
これは非常に重要なポイントです。コロナ禍でオンラインフィットネスが注目されましたが、多くのサービスが継続率の低さに悩んでいます。人間は本来、リアルなコミュニティとのつながりがあってこそモチベーションを維持できる生き物なんです。私たちの施設は「サードプレイス」としての機能も持っています。トレーニングだけでなく、地域のスポーツイベントを企画したり、会員同士が交流できるカフェスペースを設けたり。デジタルは便利さと可能性を広げるツールで、リアルは人と人をつなぐ場。この両輪があってこそ、持続可能なスポーツ習慣が生まれると信じています。
デジタルは便利さを広げるツール、リアルは人をつなぐ場。両輪があって初めて持続可能なスポーツ習慣が生まれる
── 三宅CEO
地域コミュニティとの共創が生む新しい価値
編集部
全国42拠点を展開されていますが、地域ごとの特性にどのように対応されているのでしょうか。
三宅CEO
私たちは「地域フランチャイズ」という独自のモデルを採用しています。通常のフランチャイズと違うのは、地域のスポーツ指導者や元アスリートをパートナーとして迎え、その地域に最適なプログラムを一緒に作り上げていく点です。例えば、北海道の拠点ではウィンタースポーツのトレーニングプログラムが人気ですし、沖縄ではマリンスポーツと連携したコンディショニングプログラムを提供しています。本部は、プラットフォーム、ブランディング、マーケティング支援を担当し、各拠点は地域に根ざしたコンテンツ開発に集中できる体制です。
編集部
地域の指導者をパートナーにするメリットは大きいのでしょうか。
三宅CEO
想像以上に大きいですね。地域には素晴らしい指導力を持ちながら、ビジネスとして成立させることに苦労している指導者が多くいます。私たちのプラットフォームを活用することで、彼らは全国の会員に対してオンラインレッスンを提供でき、新たな収益源を得られます。ある拠点では、元Jリーガーがジュニアサッカーのトレーニングプログラムを開発し、それがオンラインで全国に配信され、今では月間5,000人以上が受講しています。地域の才能が全国規模で活躍できる。これもデジタルとリアルの融合がもたらす価値だと思います。
編集部
地域との連携では、行政や学校との取り組みもあると聞きました。
三宅CEO
はい、現在15の自治体と「地域スポーツ振興パートナーシップ」を結んでいます。少子高齢化で学校の部活動指導者が不足している問題がありますよね。私たちの施設とインストラクターが、部活動の外部指導者として地域の学校をサポートする取り組みを進めています。また、高齢者向けの健康増進プログラムも自治体と共同開発し、医療費削減にも貢献しています。岡山県のある自治体では、私たちのプログラム参加者の医療費が年間平均8万円削減されたというデータも出ています。スポーツクラブは単なる営利企業ではなく、地域課題を解決する社会インフラになり得ると考えています。
地域の才能が全国規模で活躍できる。デジタルとリアルの融合がもたらす新しい価値です
── 三宅CEO
テクノロジーが実現する「一人ひとりに最適なスポーツ体験」
編集部
AIやデータ分析の活用についても教えてください。
三宅CEO
私たちのアプリには「パーソナルスポーツAI」という機能があります。会員の運動履歴、体調、目標、さらにはウェアラブルデバイスから取得した心拍数や睡眠データなどを分析し、その日その人に最適なトレーニングメニューを自動提案します。例えば、睡眠不足の日には激しい運動ではなくストレッチやヨガを勧めたり、目標達成が近づいている時には少しチャレンジングなメニューを提示したり。人間のコーチとAIが協働することで、より精度の高いサポートが可能になります。
編集部
データ活用において、プライバシーへの配慮はどのようにされていますか。
三宅CEO
これは最重要課題として取り組んでいます。すべてのデータは本人の明示的な同意のもとでのみ収集・活用し、匿名化処理を徹底しています。また、データの利用目的は常に会員本人の利益のためであり、第三者への販売などは一切行いません。実は、私たちは「データ主権」という考え方を大切にしていて、会員は自分のデータをいつでもダウンロードでき、削除も自由にできます。信頼があってこそのデータ活用ですから、透明性は絶対に守らなければならない原則です。
編集部
今後の展開について、どのようなビジョンをお持ちですか。
三宅CEO
3年以内に全国100拠点、会員30万人を目指しています。そして次のステージとして、企業の健康経営支援にも本格参入します。既に大手企業数社と提携し、従業員向けの福利厚生プログラムとして導入が始まっています。コロナ禍を経て、企業も従業員の心身の健康がパフォーマンスに直結することを実感しています。また、アジア展開も視野に入れています。日本で培った「地域密着×デジタル」のモデルは、他のアジア諸国でも応用可能だと考えています。最終的には、「スポーツが当たり前にある社会」を世界中に広げたい。それが私たちのミッションです。
編集部
最後に、スポーツ・エンタメ業界を目指す若い世代へメッセージをお願いします。
三宅CEO
この業界は、人々に喜びと健康を届けられる素晴らしい仕事です。ただし、「好きだから」だけでは続けられません。ビジネスとして持続可能な仕組みを作り、社会課題を解決する視点を持つことが重要です。テクノロジーは道具であり、本質は「人」です。どうすれば一人でも多くの人が、年齢や場所に関係なくスポーツを楽しめるか。その問いに真摯に向き合える人と、ぜひ一緒に働きたいですね。業界は今、大きな転換期にあります。古いやり方にとらわれず、新しい価値を創造するチャレンジを恐れないでください。
ビジネスとして持続可能な仕組みを作り、社会課題を解決する視点を持つことが重要です
── 三宅CEO
まとめ
・デジタルとリアル施設を融合した「コンパクトスポーツハブ」を全国42拠点で展開、3年で会員数10万人突破
・地域のスポーツ指導者をパートナーとする独自のフランチャイズモデルで、地域特性に合わせたプログラムを提供
・AIとデータ分析により一人ひとりに最適なトレーニングを提案、プライバシー保護を徹底
・自治体や学校との連携で部活動支援や高齢者の健康増進に貢献、医療費削減の実績も
・地域のスポーツ指導者をパートナーとする独自のフランチャイズモデルで、地域特性に合わせたプログラムを提供
・AIとデータ分析により一人ひとりに最適なトレーニングを提案、プライバシー保護を徹底
・自治体や学校との連携で部活動支援や高齢者の健康増進に貢献、医療費削減の実績も
企業情報
| 会社名 | 株式会社スポルタ |
|---|---|
| 業種 | スポーツ・エンタメ |
| 役職 | 代表取締役CEO |
| 代表者 | 三宅 健吾 |