地方発、循環型エネルギーで地域を再生する――株式会社グリーンサイクル・パートナーズ
エネルギー・環境・SDGs

地方発、循環型エネルギーで地域を再生する――株式会社グリーンサイクル・パートナーズ

廃棄物を地域のエネルギーに変え、持続可能な社会を創る

株式会社グリーンサイクル・パートナーズ

相馬 瑞穂
代表取締役CEO 相馬 瑞穂 株式会社グリーンサイクル・パートナーズ

地方都市の食品廃棄物をバイオガス発電に活用し、エネルギー地産地消と雇用創出を同時に実現。地域密着型SDGsビジネスモデルで注目を集める企業のトップが語る、循環型社会への挑戦。

地域資源を活かした循環型エネルギー事業の始まり

編集部
まず、グリーンサイクル・パートナーズの事業内容について教えてください。
相馬CEO
私たちは地方都市における食品廃棄物を回収し、バイオガス発電に活用する循環型エネルギー事業を展開しています。現在、東北・北陸地方を中心に12の自治体と提携し、年間約3万トンの食品廃棄物を処理しながら、一般家庭約5,000世帯分の電力を供給しています。単なる廃棄物処理ではなく、地域のエネルギー自給率向上と雇用創出を同時に実現する、地域密着型のSDGsビジネスモデルです。
編集部
この事業を始められたきっかけは何だったのでしょうか。
相馬CEO
私は以前、大手エネルギー企業で再生可能エネルギー部門を担当していました。しかし、大規模な太陽光や風力発電は用地確保や初期投資の問題で地方では導入が難しい現実を目の当たりにしてきました。一方で、地方には豊富な未活用資源がある。特に食品廃棄物は毎日確実に発生し、処理コストもかかっている。これを「ゴミ」ではなく「地域資源」として捉え直せば、エネルギーと雇用を生み出せると確信したんです。2018年に起業し、最初は新潟県の小さな市でパイロット事業からスタートしました。
編集部
起業当初の苦労はありましたか。
相馬CEO
最初の2年は本当に大変でした。自治体への説明、住民の理解、回収システムの構築、すべてがゼロからでした。特に「バイオガス施設は臭い」という先入観を払拭するのに苦労しましたね。最新技術を使えば臭気はほぼ抑えられるのですが、説明だけでは信じてもらえない。結局、施設見学会を50回以上開催し、実際に見て嗅いでもらうことで信頼を得ました。地道な対話の積み重ねが、今の12自治体との連携につながっています。

地方には豊富な未活用資源がある。食品廃棄物を「ゴミ」ではなく「地域資源」として捉え直すことが、循環型社会への第一歩です

── 相馬CEO

技術革新と地域パートナーシップの両輪

編集部
事業の技術的な特徴について詳しく教えてください。
相馬CEO
私たちが導入しているのは小規模分散型のバイオガス発電システムです。従来の大型プラントは初期投資が10億円以上かかり、広大な用地も必要でした。私たちは地方の中小都市向けに、3億円程度で導入できる小型システムを開発しました。処理能力は1日10トン程度ですが、人口5万人規模の都市には最適なサイズです。さらに、発電後の消化液は液体肥料として地域の農家に提供し、農産物が地域で消費され、また廃棄物として戻ってくる、真の循環を実現しています。
編集部
自治体との連携で工夫されている点は。
相馬CEO
単に施設を作って終わりではなく、地域全体のエコシステムを設計することを重視しています。例えば、回収作業は地域の福祉事業所に委託し、障がい者雇用の場を創出しています。また、地元の飲食店や食品工場には廃棄物の分別方法をレクチャーし、質の高い原料確保と処理コスト削減の両立を図っています。さらに、発電した電力の一部は地域新電力として市民に還元する仕組みも構築中です。エネルギー事業を核に、福祉・農業・教育を結びつける地域プラットフォームになることを目指しています。
編集部
採算性についてはいかがですか。
相馬CEO
正直に言えば、単体での高収益は難しい事業です。しかし、自治体の廃棄物処理コスト削減、FIT制度による売電収入、液体肥料の販売、そして国や自治体の補助金を組み合わせることで、持続可能なビジネスモデルを構築しています。重要なのは、単年度の利益だけでなく、地域に生まれる雇用や農業振興、CO2削減といった多面的な価値を評価してもらうことです。実際、私たちの事業によって年間約8,000トンのCO2削減効果が生まれており、この環境価値も収益の一部になっています。

エネルギー事業を核に、福祉・農業・教育を結びつける地域プラットフォームになる。それが私たちの真の目標です

── 相馬CEO

脱炭素社会に向けた今後のビジョン

編集部
今後の事業展開について教えてください。
相馬CEO
2025年までに提携自治体を30に拡大する計画です。さらに、バイオガス発電で得た知見を活かし、小規模水力発電や地域熱供給事業にも参入します。特に注目しているのが「エネルギーの地域内循環」です。現在、地方では電力購入費の多くが域外に流出していますが、地域でエネルギーを生産・消費すれば、そのお金が地域内で循環します。私たちの試算では、人口5万人の都市で年間約3億円の資金が域内に留まる効果があります。
編集部
人材育成や組織づくりで意識されていることは。
相馬CEO
「ミッション・ドリブン」な組織文化を大切にしています。私たちの仕事は地味で、泥臭い部分も多い。でも、地域の未来を創っているという実感が、メンバーのモチベーションになっています。社員の半数以上が地方出身者で、「地元に貢献したい」という思いを持っています。また、年2回、全社員で提携自治体を訪問し、住民の方々と対話する機会を設けています。現場の声を聞き、自分たちの仕事の意義を再確認することが、持続的な成長には不可欠だと考えています。
編集部
最後に、日本のエネルギー・SDGs分野の展望について、相馬さんのお考えをお聞かせください。
相馬CEO
日本は資源が乏しいと言われますが、実は「分散している資源」は豊富にあると私は思っています。食品廃棄物、木質バイオマス、小水力、地熱など、地域に眠る小さなエネルギー源を積み重ねていけば、エネルギー自給率は大きく向上します。大切なのは、大規模集中型から小規模分散型への発想の転換です。そして、エネルギー事業を単なる電力供給ではなく、地域課題を解決する総合的なソリューションとして捉えること。人口減少や高齢化で疲弊する地方都市にこそ、循環型エネルギーの可能性があります。私たちは、その実証モデルを全国に広げていきたい。10年後、「エネルギー自給率80%」の地域を100カ所作ることが、私の夢です。

地域に眠る小さなエネルギー源を積み重ねていけば、日本のエネルギー自給率は大きく向上する。大規模集中型から小規模分散型への発想の転換が、これからの時代には必要です

── 相馬CEO
📝 まとめ
・食品廃棄物をバイオガス発電に活用する循環型エネルギー事業で、12自治体と提携し年間3万トンを処理
・小規模分散型システムで初期投資を抑え、地方中小都市に最適な3億円規模のプラントを展開
・エネルギー事業を核に福祉・農業・教育を結びつけ、地域全体のエコシステムを設計
・2025年までに提携自治体30拡大を目指し、小規模水力発電や地域熱供給事業にも参入予定

🏢企業情報

会社名 株式会社グリーンサイクル・パートナーズ
業種 エネルギー・環境・SDGs
役職 代表取締役CEO
代表者 相馬 瑞穂
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