不登校児童支援のオンライン学習で成長率250%を達成した「ラーニングブリッジ」の挑戦
教育・EdTech

不登校児童支援のオンライン学習で成長率250%を達成した「ラーニングブリッジ」の挑戦

全ての子どもに学びの機会を。EdTechで繋ぐ新たな教育の形

株式会社ラーニングブリッジ

水野 真司
代表取締役CEO 水野 真司 株式会社ラーニングブリッジ

不登校児童の増加が社会課題となる中、個別最適化されたオンライン学習プラットフォームで年間3万人以上の学びを支援する同社の取り組みに迫る。

不登校支援という社会課題に挑む

文部科学省の調査によると、2022年度の不登校児童生徒数は約29万9千人と過去最多を更新し続けている。こうした状況下で、不登校児童向けのオンライン学習プラットフォームを提供する株式会社ラーニングブリッジは、創業5年目を迎え急成長を遂げている。代表取締役CEOの水野真司氏は、元大手学習塾チェーンで教室長を務めていた経歴を持つ。

「塾講師時代、学校に通えない子どもたちが学びの機会を失っていく現実を目の当たりにしました。彼らの多くは学習意欲がないわけではなく、集団生活や既存の教育システムに適応できないだけなんです」と水野氏は創業の背景を語る。同社のプラットフォーム「Bridge Learning」は、現在登録ユーザー数3.2万人、提携自治体数85、協力校120校を超える規模にまで成長している。

特筆すべきは、文部科学省の出席扱い認定制度に対応している点だ。不登校児童がオンライン学習を行った場合、一定の要件を満たせば学校の出席として認められる制度を活用し、学習記録や成果を学校側とリアルタイムで共有できるシステムを構築している。2023年度の実績では、利用者の68%が出席扱い認定を受けることに成功した。

AI活用による個別最適化学習の実現

ラーニングブリッジの最大の強みは、アダプティブラーニング技術を活用した個別最適化にある。同社独自開発のAIエンジン「AdaptiLearn」は、生徒一人ひとりの学習履歴、理解度、学習ペース、興味関心を分析し、最適な学習コンテンツと難易度を自動調整する。

「従来の一斉授業型のオンライン学習では、不登校の子どもたちのニーズに応えられません。彼らには一人ひとり異なる学習課題があり、それぞれのペースで進められる環境が必要です」と水野氏は説明する。実際、同プラットフォームでは学習継続率が87%と、一般的なオンライン学習サービスの平均継続率50〜60%を大きく上回っている。

さらに、教科学習だけでなく、ソーシャルスキルトレーニングや興味関心に基づいた探究学習コンテンツも充実させている。プログラミング、イラスト制作、動画編集など、子どもたちの「好き」を起点とした学びの設計が、学習意欲の向上に繋がっているという。2023年には新たに180以上の探究学習コンテンツを追加し、総コンテンツ数は1,200を超えた。

メンタリング体制と保護者サポートの充実

テクノロジーだけでは解決できない部分を補うのが、同社の専任メンター制度だ。臨床心理士、公認心理師、教員免許保持者など、約150名の専門スタッフが生徒一人ひとりに担当メンターとして配置される。週1回の1on1オンライン面談を通じて、学習計画の立案や悩み相談に対応している。

「不登校の背景には、学習面だけでなく対人関係や家庭環境など複合的な要因があります。メンターは単なる学習支援者ではなく、子どもたちの心の拠り所となる存在を目指しています」と水野氏は強調する。実際、利用者アンケートでは「メンターとの対話が学習継続の最大の動機」と答えた生徒が72%に達した。

テクノロジーは手段であって目的ではありません。私たちが本当に目指しているのは、一人ひとりの子どもが自分らしく学べる環境を創ること。そのためにはテクノロジーと人の温かさの両方が不可欠なんです。

水野真司CEO

また、保護者向けのサポート体制も手厚い。月1回の保護者向けオンライン勉強会、専門家による個別相談窓口、保護者同士が繋がれるコミュニティスペースなどを提供。子どもの不登校に悩む保護者の孤立を防ぎ、前向きに支援できる環境づくりに力を注いでいる。保護者満足度は93%と高い評価を得ている。

自治体・学校との連携強化で広がる可能性

2023年、ラーニングブリッジは自治体向けパッケージサービスの提供を本格化させた。これは自治体が費用を負担することで、管轄内の不登校児童生徒が無償でサービスを利用できる仕組みだ。すでに23の自治体が導入を決定し、約5,000名の生徒が利用を開始している。

「教育機会確保法の施行以降、自治体も不登校児童への多様な学習機会の提供を求められています。しかし独自にシステムを構築する予算やノウハウがないのが現状です」と水野氏は自治体連携の意義を語る。同社のソリューションは、教育委員会向け管理画面を通じて域内の利用状況や学習成果を可視化でき、政策立案にも活用できる設計になっている。

さらに注目すべきは、公立学校との直接連携も進んでいる点だ。担任教師が生徒の学習状況をリアルタイムで把握し、オンライン上でコメントやフィードバックを送れる機能により、学校と生徒の繋がりを維持できる。ある提携校の校長は「不登校でも学校との繋がりを感じられることが、再登校のきっかけになるケースもある」と効果を語る。

2024年度は、提携自治体を150に拡大し、カバー生徒数を10万人規模に引き上げる計画だ。また、海外の日本人学校や在外邦人子女向けのサービス展開も視野に入れている。文部科学省のGIGAスクール構想により整備された1人1台端末環境が、同社のビジネス拡大の追い風となっている。

今後の展望とEdTech業界への期待

「5年後には、不登校という言葉がネガティブな意味を持たない社会を実現したい」と水野氏は未来を見据える。同社は現在、学習データの蓄積を活かした予測的介入システムの開発に着手している。不登校の予兆を早期に検知し、適切な支援に繋げるAIモデルの構築を進めており、2024年度中のβ版リリースを予定している。

また、中学卒業後の進路支援にも力を入れる方針だ。通信制高校や高等専修学校、フリースクールなど、多様な進路情報の提供とマッチング機能を強化し、キャリア教育の側面も充実させていく。すでに15の通信制高校と連携協定を締結し、スムーズな進学支援体制を構築している。

資金面では、2023年11月にシリーズBラウンドで12億円の資金調達を完了。調達資金は、AIエンジンの高度化、メンター体制の拡充、新規コンテンツ開発に投資される。エンジニア、心理専門職、コンテンツクリエイターを中心に、今後1年で従業員数を現在の80名から150名体制に拡大する計画だ。

EdTech業界全体についても、水野氏は期待を寄せる。「日本の教育現場は長年、大きな変化がありませんでした。しかしコロナ禍を経て、オンライン学習への抵抗感は大幅に低下しています。今こそ、テクノロジーの力で教育の個別最適化を実現し、誰一人取り残さない学びの環境を創るべき時です」

不登校という社会課題に真正面から向き合い、テクノロジーと人の力を融合させた新しい教育の形を提示するラーニングブリッジ。同社の挑戦は、日本の教育の未来を切り拓く重要な一歩となるだろう。

📝 まとめ
・不登校児童向けオンライン学習プラットフォームを提供し、登録ユーザー3.2万人、提携自治体85、出席扱い認定率68%を達成
・独自AI「AdaptiLearn」による個別最適化学習で継続率87%を実現、1,200以上のコンテンツを提供
・150名の専門メンターによる1on1支援と保護者サポートで満足度93%、心理面でも手厚くサポート
・23自治体で無償提供開始、GIGAスクール構想を追い風に2024年度は10万人規模への拡大を計画

🏢企業情報

会社名 株式会社ラーニングブリッジ
業種 教育・EdTech
役職 代表取締役CEO
代表者 水野 真司
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