サステナブルファッションの先駆者が語る、循環型ビジネスモデルの可能性
ファッション・アパレル

サステナブルファッションの先駆者が語る、循環型ビジネスモデルの可能性

廃棄ゼロを目指す。アパレル業界の常識を変える挑戦

株式会社グリーンスレッド

柴田 恵理
代表取締役CEO 柴田 恵理 株式会社グリーンスレッド

年間100万着のリサイクルを実現し、環境配慮型ファッションブランドとして急成長する同社。創業5年で売上30億円を達成した柴田CEOに、持続可能なファッションビジネスの核心を聞いた。

廃棄衣料から始まったビジネス革命

編集部
グリーンスレッドの創業背景をお聞かせください。
柴田CEO
前職で大手アパレル企業のバイヤーをしていた時、年間数十万着もの売れ残り在庫が廃棄される現実を目の当たりにしました。まだ着られる服が焼却処分されていく光景に強い違和感を覚えたんです。調べてみると、日本国内だけで年間約50万トンもの衣類が捨てられている。この問題を解決したいという思いから、2019年にグリーンスレッドを立ち上げました。当初は古着のリサイクルから始めましたが、今では繊維の再生技術を持つメーカーと提携し、完全循環型のファッションブランドとして事業を展開しています。
編集部
循環型モデルとは具体的にどのような仕組みですか。
柴田CEO
私たちのビジネスモデルは3つの柱で成り立っています。まず、全国の提携店舗やオンラインで使用済み衣類を回収します。次に、状態の良いものは古着として再販し、傷んだものは繊維レベルまで分解して再生します。そして最後に、その再生繊維を使って新しい衣類を製造する。つまり「回収→再生→製造→販売→回収」という完全なサイクルを構築しているんです。お客様が当社で購入した服は、役目を終えた後も必ず次の形で生まれ変わる。廃棄物という概念がないビジネスモデルです。
編集部
立ち上げ時の最大の課題は何でしたか。
柴田CEO
資金調達と技術パートナー探しですね。当時はまだサステナブルファッションという言葉も今ほど浸透していなくて、投資家の多くが「環境に良いことはわかるけど、ビジネスとして成立するのか」と懐疑的でした。でも粘り強くプレゼンを重ね、環境価値と経済価値の両立を数字で示すことで、最終的に複数のVCから出資を得られました。技術面では、繊維リサイクルの専門技術を持つ国内メーカーとの出会いが転機でしたね。彼らの持つケミカルリサイクル技術により、高品質な再生繊維の量産が可能になりました。

廃棄物という概念がないビジネスモデルを作る。それが私たちの使命です

── 柴田CEO

顧客体験とブランド価値の創造

編集部
環境配慮型の製品は価格が高くなりがちですが、価格戦略はどう考えていますか。
柴田CEO
これは本当に重要なポイントです。正直、創業当初は再生繊維のコストが高く、一般的なファストファッションの1.5倍から2倍の価格設定でした。でも量産効果と技術革新により、今では従来品と10〜20%程度の価格差まで縮められています。私たちが目指すのは「特別な人だけが買えるエコ商品」ではなく、「誰もが日常的に選べるサステナブルファッション」なんです。そのために、デザイン性と機能性を徹底的に追求しています。環境に良いから買うのではなく、単純に「かわいいから」「着心地がいいから」選んでもらえる商品作りを心がけています。
編集部
顧客とのコミュニケーションで工夫していることはありますか。
柴田CEO
「服の一生」を見える化することですね。当社の商品には全てQRコードがついていて、それをスキャンすると、その服がどこで回収された衣類から作られたのか、どんな工程を経て生まれたのかがわかります。さらに、お客様が着用した後に返却すると、その服がどう再生されたかも追跡できる。この透明性が、顧客との深い信頼関係を築いています。また、月に1回「リサイクルワークショップ」を開催して、実際に繊維の再生プロセスを体験してもらったり、デザイナーと直接対話できる場を設けています。単なる買い物ではなく、循環型社会を一緒に作る仲間として関係性を深めているんです。
編集部
顧客層はどのような方々ですか。
柴田CEO
当初想定していた環境意識の高い30〜40代女性はもちろんですが、最近はZ世代の支持が急速に拡大しています。彼らは生まれた時から環境問題が身近にあった世代で、消費行動そのものが社会貢献になることに大きな価値を感じています。特にSNSでの発信力が強く、「#グリーンスレッド」のハッシュタグ投稿は月間5万件を超えています。また意外なことに、50代以上の男性からの支持も増えていて、彼らは「次世代に良い地球を残したい」という動機で購入されるケースが多いですね。顧客層の多様化は、サステナブルファッションが特定の層だけのものではなくなってきた証拠だと感じています。

環境に良いから買うのではなく、「かわいいから」選んでもらえる商品を作る

── 柴田CEO

業界変革への挑戦と未来展望

編集部
アパレル業界全体の課題をどう見ていますか。
柴田CEO
アパレル業界は今、大きな転換期にあります。ファストファッションの隆盛により、服は「消費するもの」になってしまった。でも本来、衣服は長く大切に着るものだったはずです。大量生産・大量廃棄のビジネスモデルは、もはや時代に合わなくなっていると確信しています。実際、EU圏では2030年までに繊維製品の廃棄を大幅に削減する規制が導入される予定ですし、日本でも遅かれ早かれ同様の動きが出てくるでしょう。問題は、多くの企業がまだ従来のモデルから脱却できていないこと。サプライチェーン全体を見直す必要があるため、確かに簡単ではありません。でも、今動かなければ生き残れない時代が来ています。
編集部
御社が業界に与えたいインパクトは何ですか。
柴田CEO
「サステナブルは当たり前」という常識を作ることです。現状では、環境配慮は「プラスアルファの価値」として扱われていますが、私たちはそれを業界のスタンダードにしたい。そのために、自社だけでなく業界全体の底上げに取り組んでいます。昨年立ち上げた「サステナブルファッション推進コンソーシアム」には、既に50社以上の企業が参加しており、リサイクル技術やノウハウの共有、共同回収網の構築などを進めています。競合という概念を超えて、業界全体で協力しなければ解決できない課題なんです。私たちの成功事例が、他社にとっての道しるべになれば嬉しいですね。
編集部
今後の事業展開についてお聞かせください。
柴田CEO
3つの方向性で事業を拡大していきます。まず国内では、2025年までに全国100店舗体制を目指しています。現在は東京・大阪を中心に30店舗ですが、地方都市でもサステナブルファッションを身近に感じてもらいたい。次に、BtoB事業の強化です。企業のユニフォームや学校の制服を循環型モデルで提供するサービスを開始しました。既に複数の大手企業から引き合いがあり、この分野は大きな成長が見込めます。そして3つ目が海外展開。アジア市場、特に環境意識が高まっているシンガポールや韓国への進出を計画しています。
編集部
最後に、これからのファッション業界を目指す若者へメッセージをお願いします。
柴田CEO
ファッション業界は、人々の生活に彩りを与える素晴らしい仕事です。でも同時に、地球環境に大きな負荷をかけている産業でもある。この矛盾を解決できるのは、新しい価値観を持った次世代の力です。「おしゃれと環境保護は両立できない」なんて古い常識は捨てて、自由な発想で新しいファッションの形を作ってほしい。技術も進化し、素材も多様化している今、可能性は無限大です。私たちも常に新しいアイデアを求めていますし、業界全体が変革の担い手を待っています。情熱と信念があれば、必ず道は開けます。一緒に、次の100年も続くファッション産業を作っていきましょう。

おしゃれと環境保護は両立できる。それを証明するのが私たちの使命です

── 柴田CEO
📝 まとめ
・年間100万着のリサイクルを実現する完全循環型ビジネスモデルを構築
・回収→再生→製造→販売のサイクルで廃棄物ゼロを実現、創業5年で売上30億円達成
・価格差を従来品の10〜20%まで縮小し、サステナブルファッションの大衆化に成功
・業界50社以上が参加するコンソーシアムを立ち上げ、業界全体の変革をリード

🏢企業情報

会社名 株式会社グリーンスレッド
業種 ファッション・アパレル
役職 代表取締役CEO
代表者 柴田 恵理
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