新潟県岩船郡関川村、磐梯朝日国立公園の豊かな自然に抱かれた**「鷹の巣温泉 吊橋と離れの宿 鷹の巣館」**。
この宿での時間は、車を降りたところから少しずつ日常を離れていきます。
宿へ向かうために渡るのは、荒川に架かる吊橋。一般車両は乗り入れることができないため、宿泊者は橋の手前に車を停め、歩いて対岸へと向かいます。吊橋を一歩ずつ進むにつれて、聞こえてくる川の音、周囲を包む山々、季節ごとに変化する自然の風景。橋の向こう側には、別荘式の一戸建て離れを中心とした静かな湯宿が待っています。
江戸時代から続く名湯、離れで楽しむプライベートな時間、敷地内から湧く自家源泉、そして新潟・関川村の旬を取り入れた料理。
観光地を次々と巡る旅とは違う、**「何もしない時間まで楽しむための旅」**を味わえる一軒です。
吊橋を渡る。その瞬間から始まる鷹の巣館での滞在
鷹の巣館を象徴する存在が、宿へと続く吊橋です。
一般車両は橋を渡ることができません。宿泊者は吊橋手前にあるキャンプ場との共同駐車場に車を停め、そこから歩いて宿へ向かいます。足の不自由な方や荷物が多い場合には、事前に連絡することで宿による迎えにも対応しています。
一見すると少し不便に感じるかもしれません。
しかし、そのひと手間こそが鷹の巣館らしさです。
車を降り、荷物を持ち、川の上に架かる橋を歩く。振り返れば、それまで走ってきた道路が少しずつ遠ざかっていきます。
そして橋を渡り切った先に現れるのが、自然の中に静かに佇む鷹の巣館。
公式サイトでも、**「吊橋を渡ると広がる空間は、まるで別世界」**という宿の魅力が紹介されています。
旅館に到着すること自体が、一つの体験になっているのです。
春には芽吹く木々、夏には深い緑、秋には紅葉、冬には雪景色。
磐梯朝日国立公園の自然に囲まれているからこそ、同じ吊橋を渡っても季節によってまったく違う風景に出会えます。
日常から非日常へ。その境界線が、この吊橋なのかもしれません。

一棟ごとに趣が異なる「離れ」で、自分たちだけの時間を
吊橋の先で待っているもう一つの魅力が、鷹の巣館を代表する離れの客室です。
メインとなる客室は、造りも大きさもそれぞれ異なる別荘式の一戸建て。一般的な旅館のように客室が一つの建物に並ぶのではなく、自然の中に独立した離れが点在しています。
離れには「藤の荘」「紅の荘」「楓の荘」「桜の荘」「椿の荘」「柊の荘」などがあり、客室だけでなく、それぞれに設えられたお風呂の造りや大きさまで異なります。
誰かの目を気にすることなく、部屋でゆっくり話をする。
窓の外に広がる自然を眺める。
温泉に入り、部屋へ戻り、また好きな時間に湯へ向かう。
予定を詰め込まなくても、それだけで一日が満たされていきます。
家族との旅行はもちろん、夫婦やカップルの記念日、静かに過ごしたい大人の旅行にも、この離れというスタイルはよく似合います。
ホテルの客室で過ごすのとは違い、一晩だけ自分たちの別荘を持ったような感覚で過ごせることが、鷹の巣館ならではの贅沢です。

客室でも源泉かけ流し。好きなときに何度でも楽しむ秘湯
鷹の巣館を訪れる大きな目的の一つが、歴史ある鷹ノ巣温泉です。
その発見は文化3年(1806年)まで遡ると伝えられています。荒川を行き来していた舟人が、川辺の湧水で鷹が羽ばたいている姿を見たことから温泉が発見されたという由来が残されています。
そして現在も鷹の巣館では、敷地内から湧く温泉を自家源泉掛け流しで提供。客室のお風呂から大浴場まで源泉が引かれています。
離れのお風呂も画一的ではありません。
鷹ノ巣山を眺めながら入れる露天風呂、川音や四季の景色を楽しめる湯船、星空を眺めながら過ごせる露天風呂、家族でゆったり入れる広さを持つものなど、客室によって異なる温泉体験が用意されています。
朝、目が覚めて一風呂。
散歩から戻って一風呂。
食事を楽しんだあとにも、もう一度。
時間を気にせず、好きなタイミングで温泉に身を委ねる。
客室に温泉があるからこそ、入浴を「予定」にする必要がありません。
大浴場には天然石と檜を使った共同浴場と露天風呂があり、季節によっては露天風呂を覆う八重桜を眺めながら湯を楽しむこともできます。
温泉に入ることそのものが、この宿で過ごす時間の中心になる。
秘湯の宿ならではの贅沢があります。

海・山・里・川。関川村の季節を一皿に映す料理
温泉と並んで、旅の記憶に残るのが食事です。
鷹の巣館がある関川村は、日本海にも近く、海・山・里・川の幸がそろう土地。宿では、その土地ならではの食材や季節ごとの旬を取り入れながら、伝統的な日本料理を基本とした料理を提供しています。
公式サイトから伝わってくるのは、単に豪華な料理を並べたいという考えではありません。
目指しているのは、食べて「おいしい」と感じてもらうことに加えて、目でも美しさを感じてもらえる料理です。
温泉宿で味わう夕食には、その土地を知る楽しみがあります。
昼間に眺めていた山や川。その周辺で育まれた食材が、一皿の料理となって目の前に現れる。
季節が変われば食材も変わり、盛り付けや献立にもその時期ならではの表情が生まれます。
離れで静かな時間を過ごし、温泉で身体を温め、その土地の旬を味わう。
鷹の巣館での食事は、関川村という土地そのものを楽しむ旅の一部です。
「癒しの宿」を守り続ける。変わらないものに出会う旅
鷹ノ巣温泉には200年以上にわたる歴史があります。
長い年月の中では多くの政治家や文化人もこの地を訪れたとされ、鷹の巣館は現在も「日本秘湯を守る会」の会員宿として、その歴史を受け継いでいます。
公式サイトには、これからも創業以来変わらないおもてなしの心で、「癒しの宿」を守り続けたいという宿の想いが記されています。
新しい設備や便利さを増やすことだけが、宿の価値ではありません。
吊橋を歩いて渡ること。
自然の中に建つ離れで静かに過ごすこと。
昔から湧き続ける温泉につかること。
旬の料理をゆっくり味わうこと。
そして、宿の人との何気ない会話を楽しむこと。
鷹の巣館には、効率や便利さを追いかける日常とは違う時間があります。館内の休憩スペースでは、タイミングが合えば温泉ソムリエの資格を持つ若旦那から鷹ノ巣温泉について話を聞けることもあると紹介されています。
何かをたくさん体験するためではなく、何もしない時間を取り戻すために旅をする。
吊橋の向こう側には、そんな旅が似合う場所があります。