建設DXとコスト最適化で業界に風穴を開ける「統建ホールディングス」の挑戦
不動産・建設

建設DXとコスト最適化で業界に風穴を開ける「統建ホールディングス」の挑戦

建設現場のデジタル革命で粗利率15%を実現

統建ホールディングス株式会社

浜野 誠一郎
代表取締役社長 浜野 誠一郎 統建ホールディングス株式会社

人手不足と資材高騰が続く建設業界で、ICT施工とサプライチェーン改革により収益性向上を果たす統建ホールディングス。その戦略とは。

建設業界の構造的課題に正面から挑む

「建設業界は今、2024年問題と資材価格の高騰という二重苦に直面しています」と語るのは、統建ホールディングス株式会社代表取締役社長の浜野誠一郎氏だ。同社は東京都千代田区に本社を構え、関東圏を中心に商業施設・オフィスビルの建設を手がける中堅ゼネコンである。年間売上高は約280億円、従業員数は正社員320名を擁する。

浜野氏が特に注目するのが労働時間規制の影響だ。「2024年4月から時間外労働の上限規制が建設業にも適用され、現場の稼働時間が年間約2割削減されました。これまでと同じやり方では工期遵守も利益確保も不可能です。当社では2年前からこの状況を見越して、建設DXへの投資を本格化させてきました」

統建ホールディングスが導入したのは、BIM/CIM(Building/Construction Information Modeling)を軸としたデジタル施工管理システムだ。設計段階から3Dモデルを活用し、施工計画の精度を飛躍的に向上させることで、手戻りや工程遅延を最小化している。「従来は図面の読み間違いや設備の干渉問題が現場で発覚し、やり直しが発生していました。BIMの導入により、これらの問題を着工前に95%以上検出できるようになりました」と浜野氏は説明する。

ICT施工で生産性を30%向上

デジタル化の推進は設計段階にとどまらない。同社は現場においてもICT建機の導入を積極的に進めている。「土工事では、3D設計データを搭載したマシンガイダンス付きバックホウを使用することで、丁張り作業が不要になり、施工精度も向上しました。測量作業もドローン測量に切り替え、従来3日かかっていた作業が半日で完了するようになっています」

さらに注目すべきは、遠隔臨場システムの本格運用だ。発注者検査や施工管理において、タブレット端末とウェアラブルカメラを活用し、現場に行かずとも状況確認ができる体制を構築した。「国土交通省が推進する取り組みですが、当社では民間工事でも積極的に採用しています。監理技術者の移動時間が月平均40時間削減され、その分を技術指導や安全管理に充てられるようになりました」と浜野氏は成果を強調する。

これらの施策により、同社の労働生産性は過去2年間で約30%向上。一人当たりの施工高は従来の8,500万円から1億1,000万円超へと拡大した。「人を増やさずに売上を伸ばせる体制ができつつあります。これは人材確保が困難な現状において、極めて重要な競争力です」

資材調達の革新でコスト競争力を強化

統建ホールディングスのもう一つの特徴が、資材調達戦略の抜本的見直しだ。浜野氏は3年前、グループ内に統建マテリアルという資材調達専門の子会社を設立した。「建設業界では、各現場が個別に資材を発注するのが一般的でした。しかしこれでは価格交渉力が弱く、スケールメリットも活かせません」

統建マテリアルは、グループ全体の資材需要を集約し、一括発注を実現。主要な建材メーカーとは年間契約を結び、市場価格より平均8〜12%安価な調達を可能にした。「特に鉄筋・生コン・型枠材といった主要5資材については、四半期ごとに価格交渉を行い、固定価格で調達しています。相場変動リスクのヘッジにもなっています」

さらに注目すべきは、リサイクル建材の活用だ。「当社では解体工事から出る廃材の約70%を再資源化し、新規工事に活用しています。特に再生砕石や再生アスファルトは品質も安定しており、コスト削減と環境負荷低減の両立ができています」。こうした取り組みにより、同社の資材費比率は売上高の42%から37%まで改善。粗利率は業界平均の10%を大きく上回る15%を達成している。

建設業は労働集約型から知識集約型へと変わらなければなりません。デジタル技術と調達戦略の組み合わせこそが、これからの競争優位性を生み出すのです。

浜野誠一郎氏

次世代育成と地方展開で持続的成長を目指す

高い収益性を実現する一方で、浜野氏が最も力を入れるのが人材育成だ。「技術は導入できても、それを使いこなす人材がいなければ意味がありません」。同社では入社3年目までの若手社員全員に、一級建築施工管理技士または一級土木施工管理技士の資格取得を義務付け、受験費用や研修費用は全額会社負担としている。

「合格率は全国平均の約2倍です。資格取得後は月3万円の資格手当を支給し、さらにBIM技術者の資格取得も推奨しています。デジタルとアナログ両方に精通した技術者を育てることが、当社の強みになっています」。同社の離職率は業界平均の15%に対し、わずか5%。人材の定着率の高さも競争力の源泉だ。

今後の展開について浜野氏は、「関東圏で確立したビジネスモデルを、2025年度から東海・関西圏に展開します」と語る。「名古屋と大阪に支社を開設し、5年間で売上高400億円を目指します。地方の中堅ゼネコンとのアライアンスも視野に入れており、当社のデジタル施工ノウハウと、地場企業の地域ネットワークを組み合わせた新しい事業モデルを構築したいと考えています」

また、木造中高層建築への参入も計画中だ。「CLT(直交集成板)やLVL(単板積層材)といった木質構造材の技術革新により、10階建て程度の木造ビルが実現可能になっています。脱炭素社会に向けて、木造建築の需要は確実に伸びます。2024年度中に専門チームを立ち上げ、2026年度には最初の物件着工を目指しています」

建設業界の構造改革が待ったなしの状況下で、デジタル技術と経営革新により新しい道を切り開く統建ホールディングス。浜野氏の挑戦は、業界全体の未来を照らす道標となるかもしれない。

📝 まとめ
・2024年問題に対応し建設DXを推進、BIM/CIMとICT施工により生産性30%向上を実現
・資材調達専門子会社を設立し一括発注体制を構築、粗利率15%と業界平均を大きく上回る収益性を達成
・若手の資格取得を全額支援し離職率5%を実現、デジタルとアナログ両方に精通した人材育成に注力
・2025年度から東海・関西圏への展開と木造中高層建築への参入を計画、5年間で売上高400億円を目指す

🏢企業情報

会社名 統建ホールディングス株式会社
業種 不動産・建設
役職 代表取締役社長
代表者 浜野 誠一郎
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