AI診断とオンライン問診を組み合わせた独自のパーソナライズサプリメント事業で急成長を遂げる株式会社ヘルスリープ。創業4年で会員数15万人を突破した同社の西村麻衣CEOに、事業の核心と業界変革への想いを聞いた。
「画一的な健康」への違和感から生まれた事業
編集部
まず、ヘルスリープ設立の経緯からお聞かせください。
西村CEO
私は以前、大手製薬会社でマーケティングを担当していました。そこで感じたのは、健康や美容の商品が「平均的な日本人」を想定して作られているという現実です。でも実際には、20代の女性と50代の男性では必要な栄養素が全く違いますし、同じ年代でも生活習慣やストレス状況によって体の状態は千差万別です。この「画一性」に強い違和感を覚えたことが起業のきっかけでした。
編集部
その違和感を事業化しようと決めた決定的な瞬間はありましたか。
西村CEO
30代に入って自分自身が体調不良に悩まされた経験ですね。病院に行っても「異常なし」と言われ、市販のサプリメントを試しても効果を実感できない。そんな時、知人の栄養士に相談して食生活を見直したら劇的に改善したんです。その時に「専門家のアドバイスをテクノロジーで民主化できれば、同じ悩みを持つ多くの人を救える」と確信しました。
編集部
なぜサプリメントという形態を選んだのでしょうか。
西村CEO
食事だけで必要な栄養を完璧に摂取するのは、現代人のライフスタイルでは非常に難しいからです。特に働く女性や子育て中の方は時間的余裕がありません。サプリメントは手軽に栄養を補える優れたツールです。ただし、それが「自分に最適化されている」ことが大前提。そこで私たちは、60項目以上の問診とAI解析を組み合わせた独自の診断システムを開発しました。
テクノロジーで専門家のアドバイスを民主化し、誰もが自分に最適な健康を選べる社会を作りたい
── 西村CEO
データサイエンスと人の温もりの融合
編集部
御社の診断システムの特徴を詳しく教えてください。
西村CEO
最大の特徴はAIと管理栄養士のダブルチェック体制です。まずユーザーに60項目以上の質問に答えていただきます。睡眠時間、食事内容、運動習慣、ストレスレベル、気になる症状など多岐にわたります。このデータをAIが解析して栄養素の過不足を算出するのですが、ここで終わりではありません。必ず管理栄養士が目を通し、AIでは拾いきれない生活背景や潜在的なリスクを考慮して最終的な処方を決定します。
編集部
なぜそこまで人の手をかけるのですか。コスト的には大変なのでは。
西村CEO
おっしゃる通り、コストは決して安くありません。でも健康は命に直結する領域です。効率だけを追求してAI任せにすることはできません。例えば、貧血気味の数値が出ても、妊娠の可能性がある場合は鉄分の過剰摂取に注意が必要です。こうした繊細な判断は、やはり人間の専門家が行うべきだと考えています。テクノロジーと人の温もり、両方があって初めて真の「パーソナライズ」が実現できるんです。
編集部
実際の効果についてはどう検証されていますか。
西村CEO
継続率と定性的なフィードバックの両面で見ています。3ヶ月継続率は約82%と、業界平均の50%前後を大きく上回っています。これは「効果を実感できているから続けたい」という証だと考えています。また、定期的にユーザーアンケートを実施しており、「疲れにくくなった」「肌の調子が良くなった」「睡眠の質が向上した」といった声を多数いただいています。医療機関と連携した臨床研究も進めており、科学的エビデンスの蓄積にも力を入れています。
編集部
競合他社との差別化ポイントはどこにあると考えていますか。
西村CEO
3つあります。一つ目は先ほど述べた診断精度の高さ。二つ目は3ヶ月ごとの再診断システムです。人の体は季節や環境で変化しますから、定期的に見直すことが重要です。三つ目は透明性。どの成分がどれだけ入っているか、原料の産地まで全て開示しています。健康食品業界は不透明な部分が多いと言われてきましたが、私たちは徹底的に情報公開することで信頼を獲得してきました。
AIの効率性と人間の専門性、両方があって初めて真のパーソナライズが実現できる
── 西村CEO
業界の構造改革と次なる展開
編集部
美容・ウェルネス業界全体の課題についてどう見ていますか。
西村CEO
過剰なマーケティングと実態の乖離が最大の問題だと思います。「これさえ飲めば痩せる」「肌が10歳若返る」といった誇大広告が横行し、消費者の期待値だけが上がって実際には効果が実感できず、業界全体への不信感につながっています。私たちは創業時から「過度な期待を煽らない」「できることとできないことを明確に伝える」ことを徹底してきました。地味に見えるかもしれませんが、長期的にはこの誠実さが競争力になると信じています。
編集部
規制やガイドラインについてはどうお考えですか。
西村CEO
もっと厳格化すべきだと考えています。現状、健康食品は医薬品ほど厳しい規制がないため、玉石混交の状態です。業界団体にも所属していますが、自主規制の強化を積極的に提言しています。短期的には当社にとっても制約になりますが、業界全体の信頼性が向上すれば市場は必ず拡大します。目先の利益より、持続可能な業界の成長を優先したいですね。
編集部
今後の事業展開について教えてください。
西村CEO
2024年秋にはメンタルヘルス領域に特化した新ラインを立ち上げます。ストレスや不眠に悩む方向けに、GABAやテアニンなどを最適配合したサプリメントです。さらに、企業の健康経営支援サービスも開始予定です。従業員の健康データを分析して最適なサプリメントを提供することで、企業の生産性向上と医療費削減に貢献できると考えています。すでに数社と実証実験を進めています。
編集部
5年後、10年後のビジョンをお聞かせください。
西村CEO
「ヘルスリープがあれば、自分の健康は自分で守れる」と言われる存在になりたいです。サプリメントだけでなく、食事指導、運動プログラム、睡眠改善など、トータルなウェルネスプラットフォームを構築する構想があります。将来的には海外展開も視野に入れています。日本発のきめ細かいサービスは、必ず世界でも受け入れられると信じています。
編集部
最後に、同じように起業を目指す方へメッセージをお願いします。
西村CEO
「社会の課題を自分ごととして捉えられるか」が全てだと思います。私の場合、自分自身の体調不良という切実な課題がスタートでした。ビジネスチャンスを頭で考えるのではなく、心から解決したいと思える問題に取り組むこと。そうすれば困難な時も諦めずに続けられますし、その本気度はユーザーにも必ず伝わります。美容・ウェルネス業界はまだまだ変革の余地がある領域です。志を持った仲間が増えることを期待しています。
社会の課題を自分ごととして捉え、心から解決したいと思える問題に取り組むことが、起業成功の鍵
── 西村CEO
まとめ
・AI診断と管理栄養士のダブルチェックによる高精度なパーソナライズサプリメントで、創業4年で会員数15万人を達成
・テクノロジーの効率性と人間の専門性を融合させ、真の個別最適化を実現。3ヶ月継続率82%と業界平均を大きく上回る
・過剰なマーケティングが横行する業界において、誠実さと透明性を貫き、全成分・原料産地まで完全開示する姿勢で信頼を獲得
・2024年秋にメンタルヘルス特化ラインと企業向け健康経営支援サービスを展開予定。将来的にはトータルウェルネスプラットフォームとして海外展開も視野
・テクノロジーの効率性と人間の専門性を融合させ、真の個別最適化を実現。3ヶ月継続率82%と業界平均を大きく上回る
・過剰なマーケティングが横行する業界において、誠実さと透明性を貫き、全成分・原料産地まで完全開示する姿勢で信頼を獲得
・2024年秋にメンタルヘルス特化ラインと企業向け健康経営支援サービスを展開予定。将来的にはトータルウェルネスプラットフォームとして海外展開も視野
企業情報
| 会社名 | 株式会社ヘルスリープ |
|---|---|
| 業種 | 美容・ウェルネス |
| 役職 | 代表取締役CEO |
| 代表者 | 西村 麻衣 |