地域金融機関のDX支援で地方創生を推進 銀行業務特化型SaaSで新たな価値を創出
金融・フィンテック

地域金融機関のDX支援で地方創生を推進 銀行業務特化型SaaSで新たな価値を創出

地域金融機関の課題をテクノロジーで解決する

株式会社リージョナルフィンテック

西村 健太郎
代表取締役CEO 西村 健太郎 株式会社リージョナルフィンテック

全国の信用金庫・地方銀行に特化したデジタルバンキングプラットフォームを提供し、地域経済の活性化と金融包摂の実現を目指す同社の挑戦に迫る。

地域金融機関が抱える構造的課題とデジタル化の遅れ

「地域金融機関は今、existential crisisとも言える状況に直面しています」。こう語るのは、株式会社リージョナルフィンテックの代表取締役CEO、西村健太郎氏だ。同社は2019年の創業以来、地域金融機関向けのデジタルバンキングプラットフォームを開発・提供し、全国47の信用金庫・地方銀行との取引実績を持つ。

「日本の地域金融機関は約400機関ありますが、その多くが人口減少・低金利環境・メガバンクとの競争激化という三重苦に苦しんでいます。特に預金残高1000億円未満の小規模金融機関では、システム投資に年間数億円をかけることが難しく、デジタル化が大きく遅れています」と西村氏は指摘する。実際、地方銀行の約6割がいまだにオンプレミス型の基幹システムを使用しており、モバイルバンキングの利用率も都市銀行と比較して20ポイント以上低い状況だという。

西村氏自身、大手システムインテグレーターで10年間、金融機関向けのシステム開発に携わってきた経験を持つ。「従来の金融システムは、一つの機能追加に半年から1年、コストは数千万円単位でかかるのが当たり前でした。これではフィンテック企業のスピード感には到底追いつけません」。この課題感が、同社創業のきっかけとなった。

SaaS型プラットフォームで実現する低コスト・高速実装

リージョナルフィンテックが提供する「RegioBank Platform」は、マルチテナント型SaaSとして設計された次世代の銀行業務プラットフォームだ。口座管理、融資審査、顧客管理、デジタルチャネル(スマホアプリ・インターネットバンキング)まで、銀行業務に必要な機能を包括的に提供する。

「最大の特徴は、API連携による柔軟な拡張性です。既存の勘定系システムとシームレスに接続できるため、基幹システムの刷新という巨大投資をせずにデジタル化が実現できます」と西村氏は説明する。実装期間は従来型システムが12〜18ヶ月かかるのに対し、同社のプラットフォームでは3〜4ヶ月で本番稼働が可能だという。コストも従来の約5分の1、月額300万円からのサブスクリプション型で提供している。

技術面では、マイクロサービスアーキテクチャを採用し、各機能モジュールを独立して開発・更新できる設計とした。「金融機関ごとにカスタマイズが必要な部分と、共通化できる部分を明確に分離しています。これにより、セキュリティパッチの適用や新機能のリリースを、全顧客に対して迅速に展開できます」。実際、同社は月次で平均15件の機能改善をリリースしており、この開発スピードは従来型システムでは考えられなかったものだ。

セキュリティ面でも妥協はない。FISC安全対策基準に準拠し、AWS上に構築された冗長化されたインフラ、多要素認証、暗号化通信など、金融機関に求められる最高水準のセキュリティを実装している。「金融庁の検査にも複数回対応していますが、SaaS型であることによる指摘は一度もありません」と西村氏は自信を見せる。

データ活用による地域企業の成長支援

しかし、西村氏の視点はシステム提供だけにとどまらない。「真の目的は、地域金融機関が地元企業を支援する力を強化することです」。同社のプラットフォームには、AIを活用した与信審査支援機能が組み込まれている。

「従来の融資審査は、過去の財務諸表を人手で分析する手法が中心でした。しかし、地域の中小企業には将来性があっても財務データが整備されていないケースが多い。私たちはオルタナティブデータを活用した審査モデルを開発しています」。具体的には、企業のウェブサイト更新頻度、SNS上の評判、取引先ネットワーク、経営者の教育背景など、非財務情報も含めた多角的な分析を行う。

「ある信用金庫では、このシステムを導入後、創業5年以内のスタートアップへの融資実行額が前年比で230%増加しました。リスクを適切に評価できるようになったことで、これまで支援できなかった企業にも手を差し伸べられるようになったのです」

テクノロジーは目的ではなく手段です。地域金融機関が本来の役割である「地域経済の血液」としての機能を取り戻すために、私たちは技術で貢献したいのです

西村健太郎氏

また、同社はオープンAPIを通じて、地域の事業者向けサービスとの連携も推進している。地元の会計事務所、補助金申請支援サービス、クラウドファンディングプラットフォームなどと連携し、金融機関を中心とした地域ビジネスエコシステムの構築を目指す。「金融機関単体ではなく、地域全体のDXを推進することが重要です」と西村氏は強調する。

今後の展開と金融包摂への挑戦

現在、リージョナルフィンテックは累計調達額18億円を元に、さらなる事業拡大を進めている。「2024年度中に導入金融機関を100機関まで拡大することが目標です」と西村氏。そのために、営業体制の強化とともに、プロダクト開発にも注力している。

特に力を入れているのが、金融包摂(Financial Inclusion)の実現だ。「高齢者や障がい者、デジタルリテラシーが低い方々も含めて、すべての人が金融サービスにアクセスできる社会を作りたい」。そのために開発しているのが、音声操作や簡易モードを搭載したユニバーサルデザイン型のバンキングアプリだ。

「ある地方都市で実証実験を行ったところ、70代以上の利用者からも『これなら使える』という声を多数いただきました。デジタル化は若者だけのものではありません」。UIはボタンサイズを大きくし、操作ステップを最小化。音声読み上げ機能や、振り込み先を顔写真で確認できる機能など、高齢者に配慮した設計となっている。

さらに、埋め込み型金融(Embedded Finance)の展開も視野に入れる。「将来的には、地域のスーパーマーケットやガソリンスタンドのアプリに、金融機能を組み込むようなサービスも考えています。金融サービスが生活のあらゆる場面に自然に溶け込む世界を実現したい」

地域創生という社会課題に、テクノロジーで挑む西村氏。「日本の地方には、まだまだ豊かな可能性が眠っています。金融機関がデジタルの力を手に入れることで、その可能性を最大限引き出せる。それが私たちの使命です」。地域金融機関の変革を通じて、日本の地方経済に新たな活力をもたらす同社の挑戦は、まだ始まったばかりだ。

📝 まとめ
・地域金融機関向けSaaS型デジタルバンキングプラットフォーム「RegioBank Platform」を提供
・従来システムの5分の1のコスト、3〜4ヶ月での導入を実現し、全国47の金融機関で採用
・AIとオルタナティブデータを活用した与信審査で、地域企業への融資を拡大支援
・金融包摂とエンベデッドファイナンスで、すべての人が利用できる金融サービスの実現を目指す

🏢企業情報

会社名 株式会社リージョナルフィンテック
業種 金融・フィンテック
役職 代表取締役CEO
代表者 西村 健太郎
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